現地で感じたCESの流れ~AlexaからGoogleへ
【すずまり】:太田さんに聞きたいのは、過去6年間行っててどう変わってきてるか。今年のCESは何が印象に残りましたか?
【太田】:何が変わってきたか……そうだな、去年と今年で違うのは、スマートスピーカーとの連携。去年はAlexaだらけだったんですよ。Amazon Echoが2014年から米国では発売されて、私もAmazon Echoっていうものがあることはなんとなく分かってたけど、去年CESに行ってみたらどのブースもAlexa、Alexa、Alexa、いろんなものがAlexaに繋がるようになってた。そこで改めて“Alexaってなんじゃ?”って思って。すごい大きなムーブメントが来てるんだなって感じたのが2017年のCESでした。
その年の年末になってやっぱり日本にもやってきて、いっきにスマートホームとかスマートスピーカーに注目が集まって。この前の座談会でもやりましたけど。で、その流れでいうと、今年は「Hey Google」。おい、“OKはどこいった?”って思うんですけど(笑)。
【一同】:そう!いつから“Hey”になったのか!
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【太田】:いつから“Hey”になったのかわからないけど(笑)、Googleは2016年の秋に米国でGoogle Homeを出してるんですね。2017年のCESは、まだそこから2ヵ月足らずでの開催ということもあったのか、圧倒的にAlexaで、Googleなんてほとんどない状態だった。そこから1年経って、今年は行ってみたらGoogleだらけになってたと。
ただ、今年はGoogleがスポンサーになってたんですよ。ブースも出してるし、広告もいっぱい打ってるし、Googleアシスタントを入れてるブースに人も派遣してた。お金をすごい出してるのでこれだけ目立ってたという見方もできる。だから一概にGoogleがすごい伸びてるって受け取っていいのかなっていうのもちょっとあるんです。とはいえ、去年との違いで言うと、去年はAlexa、今年はGoogle。
【すずまり】:Googleがすごい追い上げようとしてるっていうことではあるよね。
【太田】:そう。Googleがお金かけて、一生懸命追いつけ追い越せってやってるんだなっていうのが今年の印象。一番大きな違いはそこかな。
あと面白かったのは、電話ボックスみたいなブースがいっぱい出てたこと。音声入力ってざわざわしてるところでは使えないじゃないですか。だからあちこちに透明の、ガチャッと開けて入るような小部屋が一杯できてた。LGなんてAlexaもGoogleアシスタントもやってるから、こっちの部屋はAlexa、こっちはGoogleアシスタントになってて別部屋。
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【すずまり】:今回AIテレビと車が多くて、カンファレンスとかでも印象に残ってるんだけど、Panasonicもそうだったし。LGもサムスンもそうじゃない?
【太田】:ここ数年、大きなテーマはずっとスマートホームなんですよ。でもスマートホームってそれこそサムスンが4、5年前かな、「スマートIoTやります!エコシステム作ります!」みたいなことを言ってたんです。要するにいかに他に繋がっていくか、みたいなことをやっていた。家電って、ひとつの家の中を100%自社のもので囲むのは無理だから、メーカーも製造年も違う家電製品をどうやってつなぐかという問題がある。異なるメーカー同士の家電でどうやってスマートホームを作るかみたいなことで、いろんなアライアンスが立ち上がって、こっちのチームではこういう方式でやります、こっちのチームではこうやります、って乱立してたのがこの数年間のできごと。それが、AlexaとかGoogle Homeがでてきたら、いっぺんにそれに取り込まれた感じ。
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【すずまり】:自分たちでやるよりもそこに乗っかったほうが早いっていうことね。
【太田】:そこに繋がってしまえ!みたいな感じになったのが去年のAlexaで、今年のGoogleもそう。それまではわりと個々にやってた。LGなんかは自分のところで、LINEで対話できる冷蔵庫とか出してたり。
【すずまり】:それIFAでみたことある!
【太田】:スマートスピーカーがポーンとでてきたら、音声をトリガーにしてみんなつなげばいいじゃんってなって、そうやってスマートスピーカーに集約されてきてるところが、この数年のCESで一番大きなイノベーションだと思う。
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今年あまりAlexa、Alexaって聞かなかったのは、わりとそれが当たり前みたいになっちゃってるところもあるかも。ほぼAlexaにつながっちゃったみたいな。車も、3年くらい前まではAppleがやってる車のOSか、Googleがやってる車のOSか、はたまたAndroidベースかなんて言ってたのに、Alexaがでてきたらみ~んなAlexa。そういえば今年は自動運転も注目されたね。
【綿谷】:自動運転のLyft乗れた?※
(編集部注:CES 2018の会期中に運行されていた自動運転タクシー)
【太田】:全然当たらなかった。乗りたかった!
【あやの】:あれ4台しかないって言ってました。
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【太田】:クアルコムとかIntelのところにいくと、テーマとしては一応5Gがあった上で自動運転がありました。綿谷さんはトレンドの説明イベントに出たんだよね?
【綿谷】:出ました。たしか一番最初に5Gの話をしていて、自動運転とか、そういう世界を実現させるためには5Gじゃないとだめだ、大きな容量のデータを送らないとっていうような話がありました。
【太田】:ネットワークは、そういう意味では5GとWi-Fiメッシュ。Wi-Fiメッシュっていうのはルーター1個につなぐんじゃなくて、複数のルーターを網の目のようにつないで1台のルーターのように振る舞わせるという技術。同じSSIDでアクセスポイントを切り替えていくみたいに、広いエリアをカバーする。米国とかおうち広いじゃない?だから家の隅々までWi-Fiが届かないといけないから。結局防犯カメラだなんだってネットワークが途切れると使えないから、それを動かすためにメッシュ化するっていうのが次に通信系でやろうといてることみたい。外は5G、中はWi-Fiメッシュ。
【すずまり】:太田さん的にあと印象に残ってるのは?
【太田】:ここ数年はVR、ロボティクス、ドローン。あとはいわゆるウェアラブルとか、ヘルステックみたいなものとか。大きなテーマは変わってないんだけど、モノがどんどん細分化されてる。
【綿谷】:水の中に入るドローンが登場したり、バリエーションがでてきたよね。
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【すずまり】:細分化されてきたってことは、そのジャンルがある段階まで成熟したから次の段階にってことだよね。
【綿谷】:「スポーツテック」なんて言い方もはじめて聞いたよ。
【太田】:アクティビティトラッカーも、最初はヘルスケア目的だったのね。で、ヘルスケアがスポーツの運動解析みたいなところまで行き着いた一方で、ヘルスケア自体も血圧測るとか心電図とるとか、予防医学みたいなところまで進化した。
【すずまり】:日本には医者に直接データがいくなんて仕組みはないけど、米国にはあるしね。
【太田】:Appleがやろうとしてるけど、Apple Watchで常に血糖値をモニタして、それを医者に送るとか。
【綿谷】:危なくなる前に対処する。
【太田】:そうそう。心拍がちょっとズレておかしくなってきたらすぐ医者に連絡するとか。
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あと印象に残ってるのは……360度カメラが小型化してバリエーションが多くなっていた。去年はどっちかていうと業務用の大きいタイプが多かったんですよ。それが今年は眼鏡についてるタイプとか、とにかくカメラがちっちゃくなって身につけられるようになった。意識せずにずっと撮れるみたいな感じになってました。
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それと、耳に入れてるだけで翻訳してくれるっていうデバイスもあった。
【すずまり】:話すだけで翻訳されて聞こえてくるやつね。スタートレックの世界みたいだよね。
【太田】:翻訳デバイスも、AlexaやGoogleアシスタントと同じで、音声認識の延長線上だと思うんだけど。日本だとソースネクストが出したポケトークとか。もともとトラビスって会社の製品なんだけど、両方でブース出してたね。
今、IndiegogoとかKickstarterを見ると、翻訳ツールめちゃくちゃ出てるんですよ。そういう意味では割と身近なものになってくるのかなって思いました。2020年の日本のオリンピックなんてみんなトランスレータ使ってるんじゃないんですかね。
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