

開催4年目を迎えて、ますます勢いに乗るSlush Tokyo
Slushは北欧・フィンランドの首都ヘルシンキで毎年11月に開催されている世界最大級のスタートアップイベントだ。多種多様な出展社が持ち寄る技術・サービスにいち早く触れるため、世界各国から投資家や企業、ジャーナリスト、学生が集まるという。フィンランドでの初開催は10年前の2008年。その後、フィンランドでの規模が拡大してきただけでなく、東京・シンガポール・上海にも開催地が広がってきた。東京での開催は2015年以来4回目。2017年には2日間に60カ国から5,000人以上の来場者が集まった。今年は6,000人に膨らむものと見込まれている。

「Slush Tokyo 2018の開催テーマは“Braking Barrier(壁を壊す)”です」とSonninen氏が語る。「国籍や性別、年齢など私たちの間に横たわる壁を乗り越えながら、心躍るような未来をSlush Tokyoに集まる全ての人々が一緒につくる環境を目指しています」。

世界各国から出展社、ビジターが集まりやすいようにホームページや会場内の案内には主に英語が“公用語”として使われている。驚くことに、イベント期間中に休みなく開催されるキーノートスピーチやトークセッションも英語でおこなわれ、同時通訳サービスも基本的には提供されない。Sonninen氏は「Slushは世界中から最高のスタートアップが集まるオリンピック」だからこそ、英語でのコミュニケーションが必須なのだと説明する。
「英語でのコミュニケーションが便利、かつ合理的であるとはいえ、東京での開催なので参加者の中には英語が苦手な方がいることもわかっています。スピーチの後の質疑応答も英語で質問しなければならないため、しんと静まりかえってしまうようでは勿体ないですよね。そこで、Slush Tokyo独自の取り組みとして、よりアットホームな雰囲気で参加できるイベント“Slush Cafe”を企画しました」。

Slush Cafeでは出展社や投資家などビジターが会場内のオープンスペースで膝をつき合わせながら、互いの関心事についてじっくりと議論を交わせる。このほかにも大規模な商談スペースも設けられている。Slush Tokyoはスタートアップのショーケースとしてだけでなく、商談の場としても重要な役割を果たしている。
Sonninen氏は昨今のスタートアップの状況をどのように捉えているのだろうか。
「イノベーティブなハード機器やサービス、ソリューションを手がけるスタートアップが増えているだけでなく、その活動を支援する投資家や企業が5年前に比べてとても増えていると感じています」。

今回筆者もSlush Tokyoの初日に会場を歩き回って、来場者が胸元に下げているネームホルダーを一瞥した限りでは投資家や企業などトレードビジターの比率がとても高かったように思う。
Slushでは、参加した投資家と出展者が効率よく出会えるマッチメイキングシステムを提供している。それぞれがチケットを購入後、サイトにログインすればどの分野に長けた出展者がいるか、あるいはどの分野に興味を持って足を運ぶ投資家が集まるのかが一望できる。それぞれのリストからカテゴリー別の検索ができるだけでなく、“あなたにおすすめ”の投資家・出展者をレコメンドしてくれるサービスもある。
Sonninen氏は「今年もSlush Tokyoに参加してくれた皆様によい成果があることを願いたい」と期待を込めて語っていた。