中国の大手通信キャリア、チャイナモバイル(中国移動)はMobile Asia Expoのホールに大規模なブースを構え、既に中国で提供を開始している4G LTEサービスにスポットを当てて紹介している。 同社のLTEサービスには「和/and」というブランドネームが付けられている。中国で推し進めている独自の移動体通信方式である「TD-LTE」を採用しており、上りと下りの通信を同じ周波数帯の中で時間帯で分割しながら行う点が特徴になる。中国では3Gの世代から独自のTDD方式を採用する「TD-SCDMA」を採用してきたが、現在も国家単位でTD-LTEを推進している。チャイナモバイルとしては国の政策に従うかたちで、昨年末からいち早くTD-LTEによるサービスをスタートさせたが、同社のPR担当である王欧青氏は「中国にはまだ多く2Gユーザーが存在しているが、大半はその使いにくさにストレスを感じている。4G LTEサービスをとにかく早く市場に投入することで、一気にトップシェアを獲得したいという狙いもあった」と説明する。 同社のLTEサービス「和/and」に対応する端末は6月時点で50機種。この数の中にはスマートフォンやタブレットだけでなく、Wi-Fiルーターや基地局用アンテナなども含まれているが、スマートフォンだけを抽出すると現在30機種になる。 ブースの一角には「和/and」対応の端末が一堂に並べられた。幅広い価格レンジを揃えており、ソニーのXperia Z2やサムスンのGALAXY S5なども取り扱われている。エントリークラスの製品群は「千元智能(1000元スマートフォン)」と呼ばれており、中国系のメーカーやノキアなどのブランドが商品を展開している。1000元という価格のお手頃感について、同社の王氏に訊ねたところ「1000元(約18,000円)は中国都市部に住むサラリーマンの月収のおよそ1/5程度の金額。GALAXY S5やiPhone 5sなど高級機種は5000元前後の価格であることからも、値頃感はそれなりに高いはず」という。 LTEサービスをベースに、近々導入が予定されているVoLTEやキャリアアグリケーション技術の展示も行われている。LTE回線を利用した音声通話システムであるVoLTEについて、同社は現在開発を進めており、2015年のサービスインを予定している。今回の展示ではユーザーインターフェースの紹介に加え、音声通話やビデオ通話の品質もデモで体験ができるようになっている。 キャリアアグリケーション技術についてはTDD方式によるB39/B41の、2つの周波数帯域を束ねた高速通信サービスが6月末ごろから導入を予定している。20MHz幅の帯域を2つ束ねることにより、40MHzのバンド幅を持たせて最大210Mbpsのピークデータレートを実現する。TDDとFDDの異なる方式を束ねて、最大260Mbpsのピークデータレートを得るキャリアアグリケーション技術についても、今のところFDD方式によるLTEサービスのハイブリッド展開に関するアナウンスは行っていないものの、将来に向けた取り組みとして開発を進めていることを展示でアピールしている。 他には10.1型の大型タッチディスプレイによるカーエンターテインメントに、LTEネットワークサービスを統合したプロトタイプも出展。Androidベースのプラットフォームに、独自開発のインターフェースや機能を追加。音楽再生やインターネットラジオなどエンターテインメントが楽しめるほか、搭載車両どうしでのコニュニケーションも行えるようになる。操作は本体のタッチパネル以外にも、ペアリングしたスマートフォン経由やボイスコマンドにも対応が図られる。 ゲームコンテンツについてもLTEサービスの普及促進を図る上での牽引役として同社は期待をかけている。「4G LTEの高速通信環境により操作のストレスが改善され、グラフィックスやサウンドも一段とハイクオリティになることから多くのユーザーからの関心を引きつけるマグネットになるだろう」と同社の王氏。ブースの一角ではクラウド型、ダウンロード型のゲームコンテンツが用意され、マルチスクリーンやマルチユーザーなどの機能に対応するサービスの魅力をアピールしている。
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