10月10日から12日(現地時間)にかけて米ボストンで開催されたWiMAXのイベント「WiMAX World USA Conference & Expo」の展示会の状況について解説したい。とはいえせっかくなので、大手の公式リリースを追うのではなく、筆者らの考える注目すべきポイントに絞って見ていくこととしたい。
■「Best of WiMAX World Award」を発表 なお展示会ではないが、基調講演の冒頭で、WiMAX Worldが今年から開始した優秀な製品や商品を表彰する「Best of WiMAX World Award」の発表があった。中立なWiMAX Worldのアドバイザリボードメンバから選ばれた6名の審査員によって選ばれた、本年度の各部門の受賞は下記の通りだった。
・デバイス周辺機器、アプリケーションソフトウェア:MAX-100/200 Mobile WiMAX CPE(ZyXEL社) ・商用アプリケーション/展開-装置メーカー:BreezeMAX Si(Alvarion社) ・商用アプリケーション/展開-サービス提供者:WiMAX Telecom社 ・システムデザイン:BX-3000 Base Station (ADAPTIX社) ・インダストリーイノベーション:WiMAX Distributed Network (Motorola)
もうひとつが、限定的に公開したモバイルWiMAXのシステムだ。同社のモバイルWiMAX製品は今回がはじめてのお目見えとなるため、実際の無線の状況を測定器で表示して、動く製品の開発に成功している事をアピールしていた。同社は早々とMIMO(Multiple Input Multiple Output)をサポートした事で注目を浴びているが、残念ながら会場のシステムでは動作させていなかった。しかし担当者は「ぜひオタワ(同社のR&D部門)に見に来てほしい」と自信をのぞかせていた。また、モバイルWiMAXで必要となる基地局間のハンドオーバなどを制御する機能を提供するASN-GW(Access Service Network Gateway)についても、同社の実績あるシステムをベースに、通信事業者が求める信頼性を確保しているという。同社の製品の注目は高く、モバイルWiMAXの展示は各国のグループがすきまなく、入れ替え制で入っていた。
WiMAXの端末については、同社はパートナー企業の製品との相互接続性を取ることに集中している。具体的には今回、WiMAX World Awardを受賞したZyXELの製品や、MiTAC、Runcomの製品などが展示されていた。
■スタレントネットワークスは新コンセプトのASN-GWを開発 スタレントネットワークスは、cdma2000用PDSN(Packet Data Serving Node)の大手メーカーであるが、同社のST16プラットフォームを利用してASN-GW(Access Service Network Gateway)を開発中である。製品は来年のリリースを予定しているとの事。処理能力は現在のPDSN並みを目指すという。
■POS DATAはCPEのモックアップを展示 国内ではあまり知られていないが、韓国にはPOSDATAというWiMAX機器メーカーがある。同社のFLYVOというブランドのWiMAXシステムは2.3GHz、2.5GHzに対応しており、基地局には屋内用と屋外用の2種類があるという。なお同社はASN-GWも開発しているが、これをACR(Access Control Router)と呼んでいる。