本コラム第77回にて、今国会で成立した「電気通信事業法等の改正案」に伴い、この改正案に盛り込まれていた多岐な内容のうち、とくに「海外から持ち込まれる端末の利用に関する規定の整備」に着目し、総務省のブリーフィング内容や質疑を巡って知り得た情報をもとに記事を執筆させていただいた。 その原稿の中で、筆者の見落としによる法改正の解釈違いがあり、総務省よりご指摘をいただいたので、ここで深くお詫びを申し上げるとともに、技適問題の緩和を巡る正しい解釈について、再度解説をしたい。■「携帯電話等」と「Wi-Fi等」は別に考える必要があった 今回の法改正は「電気通信事業法等の改正案」となっているが、電気通信事業法施行から30年を経た今年、大きく市場環境も変わった電気通信サービスに対応した内容にすべく、多岐に渡って法制度の見直しが行われている。 その見直し範囲は広範で、電気通信事業法を主体としながら、関連する部分の電波法や放送法の一部まで見直しが行われている。総務省から国会に提出された法律の改正条文を記した「新旧対照条文」は86ページにも及んだものだ。 筆者が注目していた、「海外から持ち込まれる端末の利用に関する規定の整備」に関連する部分で言えば、電波法が主体となると考えていた。 現実に問題視されていたのが、訪日観光客等がわが国に持ち込んで利用するモバイル端末についてだ。わが国の従来の法律では、わが国で定められている技術基準への適合性が確認された適合表示無線設備(いわゆる「技適」があるもの)の利用が前提で、この適合表示がない端末においては違法無線局として取り扱われる懸念があった。 訪日観光客等が使う端末の大半は日本の「技適」がない端末とみられ、それらを使うと違法となってしまう。また、来日観光客向けにフリーWi-Fi等の提供を考えている自治体等にとっても、その利用が違法となってしまっては大手を振って「どうぞお使いください」とは言えないわけで、わが国のフリーWi-Fi整備における課題ともなっていた。
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