LTEという通信方式の名称は、iPhone 5発売時に、KDDIとソフトバンクがCM展開したことで一般の消費者にも認知されるようになったのだが、じつはNTTドコモのLTE方式サービスは他の2キャリアよりも先行し、2010年12月から「Xi(クロッシィ)」というサービス名称で展開を始めていた。KDDIやソフトバンクに比べ約1年半以上も早くサービス展開してきたことにより、エリア充実のための設備投資や安定した通信を実現させるためのノウハウの蓄積といった点でNTTドコモは有利とされている。エリア拡大と同時に、高速化にも注力し、現在52地域で導入している112.5Mbps対応エリア数を今年6月までに100地域以上に増やし、また75Mbps対応基地局についても15,000局以上に増設していくという。2013年度内には、東名阪地域を中心に国内最速となる150Mbpsサービスを展開する計画も明らかにしている。さらにその先には、LTE-Advancedという下り最大1Gbps級の高速データ通信可能な技術も控えている。 NTTドコモといえば、MNP利用による加入者の流出が続いており苦戦を強いられているといった報道も多いが、KDDIやソフトバンクが盛んに通信エリアや接続率のデータを出した派手なプロモーションを打つ陰で、地道に設備投資を行い通信品質の改善に努めているといった印象である。加入者数という点で考えると、まだ圧倒的にユーザーがNTTドコモに偏っている状況にあり、通信設備を同時利用するユーザー数を考えると他の通信キャリアに対して不利という一面も無いわけではない。とくに都心部ではユーザー数の密度からして決して有利な状況にあるとはいえない。NTTドコモは同社の技術を結集し、こうした課題を乗り越えていく工夫を続けているようだ。 結論としては、どの通信キャリアを選ぶかは「ユーザー自身が最も利用頻度の高い場所・エリアで確実に接続できること」を前提に、端末(対応通信方式や対応周波数も考慮する必要がある)と通信キャリアを選ぶということになるだろう。最近では2年の利用を前提としたスマートフォンの購入が定着したが、購入当初とその後の通信品質が同等で利用できるとも限らない。同じネットワークを利用するユーザーが同エリア内で急増すれば、通信品質は落ちてくる。その際に、各通信キャリアが、自身のスマートフォンが対応するネットワークに対して、今後どの程度設備投資の予算を割いて品質向上に努めていくかという点も参考にすべきである。各社の投資家向け資料を参照すると、こうした設備投資の規模や通信キャリア自身のやる気度も見えてくる。 各通信キャリアが展開するイメージ戦略重視の宣伝等に決して惑わされず、可能な限り友人知人のスタートフォンの通信品質などを参考にし、自身の行動範囲で安定して通信できる通信キャリアを選ぶことに尽きる。
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