今回のイベントはドコモが5Gの技術を、いわば実地訓練を通して磨き上げていくことで“誰もが体験したことのない体験”を実現する「FUTURE-EXPERIMENT」プロジェクトの第1弾として行われた。かしゆか（樫野有香）・のっち（大本彩乃）・あ～ちゃん（西脇綾香）の3人による人気アーティスト・パフュームとのコラボレーションは、「docomo FUTURE-EXPERIMENT VOL.01距離をなくせ。」と銘打った。
実験の構成だが、まず東京都内にライブ配信のコントロールセンターを設けて、ロンドンとニューヨークのスタジオを光回線でつないだ。そして一部ロンドンからかしゆかのステージを捉えた映像・音声データを東京に送る際、コントロールセンター内の無線スイッチャーから映像デコーダーに送るまでの設備を5G無線化した。9台のカメラで撮影した2K（フルHD）映像を4本のストリームに束ねて伝送。ステージで踊るあ～ちゃんの左右に展開するスクリーンに体の動きとリップシンクを同期させたかしゆかとのっちの映像を映し出した。「光ケーブルの送受信と変わらない低遅延が5Gの無線環境でも可能なことが証明できた」と、NTTドコモの5G推進室長 中村武宏氏が実験実施後に集まった記者に対して総括した。
都内のイベントステージには、招待されたファンの前にあ～ちゃんだけが登場。ロンドンのかしゆか、ニューヨークにいるのっちと一緒に時間と距離を越えて、ぴたりと息の合ったパフォーマンスを披露してみせた。なおこの日が新曲『FUSION』の初めてのお披露目の機会にということもあり、会場に集まったファンはパフォーマンス後、パフューム名物のひとつであるあ～ちゃんの軽快なトークにも大きな拍手を贈っていた。ライブ動画はドコモが開設中の特設サイトからも視聴できる。
「ハイグレードなダンスを精密に息を合わせておこなうパフォーマンスが世界的にも高く評価されているパフュームにこそ、今回の実験でお見せしたかった5Gの“低遅延”を一緒にアピールして欲しかった」と中村氏がキャスティングの背景にある狙いを語った。その思惑通り、今回はライブ配信でも見事に同期する音と映像の可能性を見せつける格好となった。ライブパフォーマンスの直後にステージ上で、3人のパフォーマンスを合わせこんだ映像のプレイバック視聴がおこなわれた際には、まるでメンバーが1箇所に集まってパフォーマンスを繰り広げているかのような、ピタリと同期した映像に会場のファンからため息が漏れたように聞こえた。パフュームのメンバーも「ふだんは別の場所でバラバラに歌って踊ることはないので、こんな経験ができたことがとても新鮮。ドコモの5G技術の先進性に驚かされた」と口を揃えながらコメントしていた。
同プロジェクトはこれからも継続的に実施されることが決まっており、続く第2弾は12月に国内で行われるパラリンピック関連のイベント中継が予定されている。ドコモの中村氏は「低遅延性能のほかにも、5Gの技術が持つ大容量伝送などについても近くアピールする機会を設けたい」と語って意欲をみせていた。今回のプロジェクトから得た成果が素地となって、5G技術の商用化後にはライブエンターテインメントを支える技術が確立されることになるはずだ。
