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オープンにしたフジ記者会見  現場で感じた異様さ

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フジ・メディア・ホールディングス/フジテレビジョン 代表取締役 嘉納修治氏【撮影/村上弥生】
  • フジ・メディア・ホールディングス/フジテレビジョン 代表取締役 嘉納修治氏【撮影/村上弥生】
  • フジ記者会見の受付に並ぶ記者ら【撮影/村上弥生】
  • フジテレビジョン取締役副会長 遠藤龍之介【撮影/村上弥生】

 27日、フジテレビは中居正広氏と女性とのトラブルをめぐり“2度目の記者会見”を開催。前回会見が「閉鎖的」と批判を受けた反省から大幅にオープン化したものの、約10時間半にも及ぶ異例の長さとなり、質疑応答中には怒声や拍手、記者同士の衝突まで飛び交う“大荒れの光景”となった。

 そして28日、SNS上では「フジテレビかわいそう」というワードがトレンド入り。「約10時間もほぼ休憩なし、食事もなくずっと質問攻めは拷問」「途中からフジの経営陣が気の毒に見えてきた」との声が相次いだ。



“怒号が飛び交う”異例の10時間超え会見

 初回はごく一部メディアのみを招き、カメラを入れなかったことで猛烈な批判を受けたフジテレビ。2度目では一転して参加媒体の大幅拡大を図り、参加媒体を絞らずカメラの取材も許可。FNNプライムオンラインやTVerによる配信を実施し、誰もが視聴できる形にした。

 当日会場には約400人が詰めかけ、受付開始前から行列。午後4時のスタート当初こそ、説明側のフジ経営陣が謝罪と辞任を表明したが、その後は質疑応答が一向に終わらない状態となる。途中1回の休憩を挟みつつ午前2時半近くまで続くという“異例の10時間超え会見”となった。

受付開始から長蛇の列 質疑応答は「制限時間なし」

フジ記者会見の受付に並ぶ記者ら【撮影/村上弥生】

 初回の会見は「特定メディアのみ」「テレビカメラも入れない」などとして強い非難を浴びたフジテレビ。2度目では一転して参加媒体の大幅拡大を図り、参加媒体を絞らずカメラの取材も許可。会見のディレイ配信やテレビカメラの入場も許可され、質疑応答にも制限時間が設けられなかった。会場には191媒体・437人が詰めかけ、午後2時の受付開始前から多数が集まった。入館時の手荷物検査も含め、警備態勢が厳重に敷かれ、物々しい雰囲気の中で会見は午後4時に始まった。

 こうして“どこまででも質問できる”かたちになった一方で、「当該女性のプライバシーの保護」を理由にした司会の制止が頻発し、最初の質問から怒号が飛び交う展開に。混乱し始めた会場を落ち着かせる声も記者席から上がるなど、開始早々に“無秩序”の片鱗を見せた。

「認識の違い」撤回により拍車がかかった大混乱

フジテレビジョン取締役副会長 遠藤龍之介【撮影/村上弥生】

 会見を“大荒れ”にさせた最大の要因とされるのが、遠藤龍之介副会長の踏み込んだ発言と、その後の訂正だ。

 フジテレビは当初、中居氏と女性とのトラブルを巡り「認識の違いがあった」と説明してきた。しかし、記者から追及を受ける中、遠藤氏は「中居氏は“同意のもと”だったと説明している」という趣旨の発言に及んだ。その数分後、広報局員からメモが回り、「表現を撤回、回答を差し控える」と説明を修正。

 トラブルの核心とも言える“合意の有無”を一時的とはいえ語ってしまった後に撤回が入ったことで、質疑応答はさらにヒートアップ。何度も制止が入る中で声を荒らげるフリーランス記者や「一度答えたことを撤回するのか」「撤回はおかしい」などと糾弾する声が飛び交い、止めようとするスタッフの声すらかき消される場面が生じた。

「静かにしてください。マジで。」

 指名されていない記者らからの怒号が飛び交う中、混乱を鎮めたのは通販新聞記者の「一応、手を挙げて当たった人が質問するルールになっているので、それは守ってください。静かにしてください。マジで。」という言葉だった。その後、同記者は問題発覚後にフジテレビがスポンサー企業にとった対応について質問した。

 SNS上では、大荒れの記者会見について「フリーランス記者興奮し過ぎて嫌になる」「陰湿ないじめに思えてきた」「記者に嫌悪感を抱くわ」などの反応が見られた一方で、通販新聞記者の発言には「マジナイス!」「よく言った」「会場の空気を変えてくれた」など、同記者に対する称賛の声もみられた。

報道の本旨とは何か

 今回の“異例の記者会見”から一夜、SNSでは記者会見のあり方について様々な論議が湧き起こっている。

 「フジ側は批判覚悟でオープン化を図り、できるだけ多くの質問に答えようとした」など、今回の会見を評価する声がある一方で、「オープンすぎて”収拾不能に」「同じ質問が延々続き、登壇者も最終的に同じ説明を繰り返すだけ」だという批判もあがった。

 会見終了後のネット上では、フジテレビの対応以前に「記者のレベルが疑問」「質問にならない一方的な意見表明ばかり」といった声が増えたことも事実だ。今回のケースでは、前回会見に対する反省から、徹底的な説明責任を果たそうと“誰でも参加しやすい”形を取ったフジテレビが、現場の無秩序化を招くというジレンマに直面したと言えるだろう。

 企業の会見とは本来、一定のルール内で情報開示と質疑が行われる場だが、議論が白熱しすぎると公開処刑のようになり、かえって企業側が要点を説明しづらくなってしまう。

 「報道の本旨は何か」「誰のための質問か」――フジテレビだけでなく、すべてメディアで今後考えるべき課題が突きつけられたと言えるだろう。

《平木昌宏》

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