過去最高の動員を記録し、5日に閉幕したMobile World Congress 2015。今年のMWCにおいて、ネットワーク関連の大きなトピックとなったのが、LTEとWi-Fiのリソースをいかに効率的に使っていくかということ。通信キャリアや端末ベンダーなど複数のブースでこの部分に焦点をあてた展示を見かけた。 ■カテゴリ9で450Mbps、カテゴリ11で600Mbps CAによる高速化デモ クアルコムブースでも、上記のトピックに関する技術・ソリューションをメインに展示していた。まずLTEのキャリアアグリゲーション(CA)関連の展示。LTE/LTE-Aでは使用できる帯域幅や変調方式によって端末カテゴリが定められており、ピークスループットもカテゴリ毎に異なっている。今回クアルコムが展示していたのは、カテゴリ9のCAで下り最大450Mbpsのピーク速度を実現するデモ。同社はカテゴリ9まで対応のチップとして、Wi-Fiルータ向けのものに加えて、スマートフォン向けのチップ「スナップドラゴン810」も開発しており、MWCで発表されたいくつかのスマートフォンにすでに採用されている。Wi-Fiルータ向けであれば、グラフィック処理等の必用がないため、チップはモデムコアとCPUのシンプルな構成にできるが、スマートフォンの場合、GPUやDSPも必要となる。それを従来のスマートフォンのフォームファクタの中で実現している点がポイントだという。 さらにカテゴリ11対応のデモもおこなわれていた。カテゴリ11では、CAに利用できる帯域幅は20MHz×3波の合計60MHzでカテゴリ9と同じだが、変調方式が64QAMから256QAMまで対応できるようになり、ピーク速度は600Mbpsまで向上する。デモでは、実際にエリクソンのインフラにつないでの試験がおこなわれており、580Mbps前後と理論値に近い値を記録していた。まだ具体的にどのチップからカテゴリ11に対応させるかは開示されていないが、周波数のリソースを増やすことなく、変調方式の変更でスループットを向上させることができるため、日本を含めマーケットからの注目度は高いという。■既存のAPを活用するLTEとWi-FIのアグリゲーション 使える周波数、帯域幅が限られた中で、増加の一途を辿るデータトラフィックに対応するため、今もっとも注目が集まっているのがLTEとWi-Fi、特にアンライセンスドバンドである5GHz帯をいかに利用するかという点。今年のクアルコムブースで注目を浴びていたのが、LTEとWi-Fiのアグリゲーション技術と、5GHz帯をLTE利用するLTE-U(LAA)のデモ展示だ。 LTEとWi-Fiのアグリゲーションは、LTEの無線基地局(eNodeB)とWi-FiのAPをつなぐことで、LTEとWi-Fi双方を通じてトラフィックを流す仕組み。LTEのネットワーク上での制御が可能なため、LTEでのCAと同様にスループットの高速化と、一方の接続が弱まってももう一方のネットワーウで補完するということができるようになる。これまでは、データのオフロード目的でWi-Fi APを設置したは良いが、ユーザーアクセスが集中するとスループットが下がってしまい、結局LTEにつないでいる方が良いということが起こっていた。この仕組みのもうひとつ大きなポイントは、既存のAPを置き換えることなく、裏側でeNodeBとの接続にさえ対応させれば利用可能になるということ。ここまでの投資を無駄にすることなく、スループット向上を図ることができる。日本でも、何万局、何十万局といったAPが設置されているが、そのリソースを有効活用できることになる。すでに韓国のKTが来年の商用化を発表するなど直近でのサービス開始がみえている。
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