MWC 2015に出展するNTTドコモは、VoLTE時代の高品質な音声通話にも最適な音声符号化方式として注目される「EVS」コーデックによる高品位な音声通話と、多角度的なアプリケーション展開の事例を紹介した。 EVSは昨年12月に3GPP(3rd Generation Partnership Project)によって標準化された携帯電話端末向けの音声コーデック。AMRやAMR-WBといった既存の音声コーデックよりもさらに高品位な音声通話が可能になるのが特徴。例えば、現在ドコモのVoLTEで使われているAMR-WB(Adaptive Multi-Rate Wide Band)は帯域50Hz~7kHzの音声信号を、6.6~23.85kbpsまで9種類のビットレートで符号化できるコーデック技術だが、EVSでは帯域がさらに50Hz~14kHzまで広がり、従来の電話で使われてきたサンプリング周波数である8kHzとの互換性を確保しながら、CDよりも高いサンプリング周波数である48kHzのフルバンド音声に対応ができる。ビットレートの設定可能範囲も5.9~128kbpsに拡張されたことから、さまざまな新しい展開が期待できる。 ドコモのブースでは「3G」と「VoLTE」の通話音声と、「EVS」とを比較する形で試聴デモンストレーションが体験できた。EVSでは特に中高域のクリアさが高まり、通話相手の声が明瞭になるだけでなく、背景から聞こえる環境音も鮮明度が増してくる。AMラジオからFMラジオに明瞭度があがったイメージに例えればわかりやすいだろうか。 音声通話の品質が高くなることで、通話の楽しみ方にも新しい価値を加えることができるようになる。ドコモではEVSのさらなるメリットとして、通話しながら使える「音声スタンプ」というあたらしいアプリケーション提案を紹介している。これはLINEのスタンプを音声に起こしたものと捉えてもらえたらわかりやすいのだが、VoLTE通話の間に、アプリに表示されている「Happy」や「Punch」などのアイコンをタップすると、会話中にアイコンに合わせた音声スタンプが“ハッピー”、“パンチ”と合いの手のように入ってくるというものだ。 ドコモのスタッフによれば「従来の音声品質のままでは周波数帯域が狭いので通話の声を聴き取るのが精一杯だったが、全体の音声の明瞭度が上がることで、音声に音声を重ねても聴き取れるようになる。そこで新しい楽しみ方ができないかと考えた」ことが、音声スタンプをつくった背景にあるのだという。今回はまだアイデア段階の出展だということだが、EVS対応のチップセットが固まって端末が出てくれば、音声通話でも色々と遊べる可能性を感じさせる提案であるといえるだろう。