■すべてをくら寿司で完結させる コーヒーにもこだわった。3種類の高級豆をブレンドし、スイスのエスプレッソマシンも導入した。コーヒーをはじめたのは2013年12月だが、結果、これも客単価アップに貢献した。「デザートを充実させてましたし、昼にご飯を食べたらコーヒー飲みたくなりますよね。でも、みんなコンビニで買ってました。だからうちで完結させたかったんです」と松島氏は話す。 専門店で提供されるメニューからコーヒーまで、“食のテーマパーク”を目指すというのが同社の目標だ。松島氏は「誰でも来店し、なんでも食べることができる場所」が理想だという。コンビニをライバル視するのも理解できる。松島氏は「コンビニはとにかく勉強になる。100円でこれをやるか?というものを販売してくる。物販ですから原価は高いですけど、ただそれをできたら売れますよね。今や回転寿司を見ても仕方ないです」と言う。 しかし専門店が色々なメニューを導入した結果、客離れを引き起こし閉店に追い込まれるケースもある。くら寿司がそうならないのは、前述のように商品が“中途半端”ではないからだろう。今同社が取り組んでいるのは、新商品の開発というよりも1品1品のクオリティーを上げることだ。 “すし”というのは強い来店の動機になる。コンビニをライバル視しながら単なる“なんでも屋”にならない。軸はぶれていない。「お寿司ありきですよ。料理の世界からこっちにきたんですけど、寿司は強いと感じます。寿司は不滅だし、家で作れない」と松島氏。 将来的な可能性として注目しているのがケータリング・宅配だ。「セブンイレブンなんかは、老人向けにケータリングもはじめてますよね。店舗に来てもらうだけではなくて、自分から出ていくことも考えている。今後は考えていかなければいけないことだなと思います」(松島氏)。