◆ドコモ、サムソン、インテル担当者とのラウンドテーブル セッション終了後のラウンドテーブルでは以下のような質疑応答が行われた。--- 数あるOSの中、Tizenを選んだ理由について3名の意見を聞きかせてください。クロトー氏:インテルはこの30年、新しいセグメントの開発、エコシステムの構築を行ってきました。Tizenのようなオープンイノベーションにコミットすることは、ユーザーに最適な選択肢を与え、新しいテクノロジーに接する機会を与えます。チョイ氏:私も同様な意見になりますが、IT技術にとって、重要な要素はクリエイティビティとイノベーションだと思います。この2つを支えるためには完全なオープンシステムが必要です。オープンなシステムはベンダーもオペレータも自由なデザインをもたらします。Tizen OSはベストな選択だと思っています。杉村氏:ドコモとしてはOSに依存しないサービス、市場でのフリーハンドを持つという意義は大きいものと考えています。プラットフォーム上での自由度が確保されることの価値をTizenには感じています。--- Tizenに関して今年(2013年)の2月、スペインで発表を行ってからドコモではiPhoneを扱うという大きな変化がありました。開発中のTizen端末は、ドコモの端末ポートフォリオの中でどのような位置づけなるのでしょうか。杉村氏:ドコモのTizen端末の戦略や商品の位置づけにおいて、2月の発表からスタンスが変わったということはありません。さきほど述べたOSに依存しないサービス、プラットフォームでの自由度という観点からは非常に期待している端末のひとつであることは変わりありません。--- サムスン内部ではTizen端末の開発が遅れているという話も聞かれます。ドコモのTizen端末はいつ発売されるのでしょうか。杉村氏:現在、よりよい製品にすべく作業を進めている段階ですが、Tizen端末はローカル市場だけでなくグローバル市場を考えているものでもあります。しかるべき条件がそろい、最適な市場投入のタイミングを見計らっているというのが現状です。チョイ氏:残念ながら、私はソフトウェアR&Dセンターの人間なので、端末の開発状況についてコメントできる立場ではありませんが、すべてのステークホルダーが納得する形でベストなものを作るため必要な時間をかけているものと思います。Tizenはオープンソースソフトウェアなので、必要ならばTizenそのものをダウンロードすれば、開発状況などを把握することができると思います。--- ドコモとしては、Tizen端末のターゲットはどのような層をねらっていますか。杉村氏:グローバル市場でみると、日本の端末はハイエンドに分類されます。したがって、日本でのTizen端末はハイエンドになる予定です。しかし、セッションでも発表があったように、グローバル市場では、ミッドエンド、ミッドローにも対応すべく、プロファイルを拡張しています。--- 本日のセッションでは、開発者やプロバイダー向けのサイトについて発表がありましたが、エンドユーザー向けのアプリマーケットはいつごろ立ち上がるのでしょうか。また、そのときどれくらいのアプリが用意されるのでしょうか。クロトー氏:アプリマーケットは、実際のモバイルデバイスが市場に投入されるタイミングでオープンすることになります。そのときのアプリ数の予想は困難ですが、クオリティ重視の戦略をとっているということを申し上げます。 以上、ポイントとなるやりとりをピックアップしたが、2月の発表では2013年には端末を市場投入するとしていたので、今回の発表は若干後退した形となる。しかし、Dynamic Boxなどの新しい機能も発表され、アプリコンテストやOSのロードマップのアナウンスもあったことを考慮すると、グローバルな市場動向をみながら、各キャリア、ベンダーがそれぞれ最適なリリースタイミングを見据えているものと思われる。