スマートフォンがガジェッターやビジネスマン向けの商品だった頃はとうに過ぎ、現在では女性や学生など世代、性別問わず多くの人が普通にスマートフォンを持つようになった。またタブレットの普及によって通信端末の2台持ち3台持ち、あるいはそれ以上という人も珍しくない。 そうなると誰もが気になってくるのが毎月の通信料だ。各通信キャリアが用意しているプランだけで、こうした多様なユーザーのニーズに応えきれるのか。スマートフォンを持っているけどLINEしか使ってない。サブとしてタブレットを使いたい。スマートフォンでテザリングできるがモバイルルータはやはり必要、などというような多様な利用スタイルに対して、定額プランや家族割りだけではカバーしきれなくなってきている気がする。速度制限やパケットの総量規制(パケットを使いすぎるとしばらくパケットが制限される)のある安価なSIMが人気なのには、こんな背景があるのではないか。 「OCNモバイルエントリー d LTE 980」(LTE 980)は、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が4月にリリースした、総量規制のあるデータ通信SIMである。それが5月に入って、総量規制された場合の帯域制限を100kbpsから200kbpsへと引き上げた。同時に3G回線への対応、nanoSIM対応など早々とサービスのリニューアルを実施した。4月に発表したLTE 980を、わずか1ヵ月でリニューアルを実施した。それはなぜか。また、なぜそんな短い期間でリニューアルできたのか。以下の4名にインタビューを実施した。田端奈津子氏:ネットワークサービス部 オープンネットワークサービス部門 担当課長岡本健太郎氏:ネットワークサービス部 販売推進部門 担当課長新村道哉氏:ネットワークサービス部 販売推進部門 Webプロモーショングループ 担当課長郷田英明氏:ネットワークサービス部門 オープンネットワークサービス部門 担当課長――まず、NTT Comが低価格SIMの市場に参入し「LTE 980」のサービスを始めた理由や狙いはどんなところにありますか。田端氏:背景として、NTTドコモをはじめとした事業者がLTEのサービスを拡大してきたこと、それに伴いMVNOが出すサービスや機能も充実してきたことがあります。また、SIMフリーデバイスの市場も拡大してきており、このようなビジネスチャンスに、NTT Comのサービスは信頼性では定評があるものの、価格競争力で十分な力を発揮できていなかったので、これを巻き返せればと考えました。郷田氏:「LTE 980」を提供するにあたり、他社の低価格SIMを意識してサービス設計するというよりは、利用者がどのようなサービスをどのように使われているのか、利用者へのヒアリング調査などを行い、本当のニーズや価値は何かという点を重視しました。また、お客様からみて価格帯が適正であったとしても、機能面で使えないものにはしたくありませんでしたので、他社サービスとの比較ではなく、お客様視点からみて、どんなサービスが受け入れられるかを第一に考えました。