シンガポールで開催されているアジア最大級の通信展示会「CommunicAsia2010」で、大手通信機器ベンダーのファーウェイ・テクノロジーズ(Huawei Technologies)はLTEモデムなど今後市場投入する予定の各種製品を展示した。 中国・深センにある同社は基地局など携帯電話ネットワークのインフラ分野でEricssonに次ぐ世界第2位のベンダーとなったが、日本でもイー・モバイルなどによって多数の機種が採用されているように、データ通信端末でも大きなシェアを持っている。今回の出展でも、LTE関連技術や通信事業者向けのマネージドサービスの紹介に加えて、USBモデムをはじめとする多数の端末の展示が行われた。 同社データ通信端末の中で最新のハイエンド製品が「E398」で、QualcommのMDM9200チップセットを使用しカテゴリ3(下り最大100MHz/上り最大50MHz)のLTEに対応している。また、2Gのデータ通信方式であるGPRS/EDGE、同じく3GのW-CDMA/HSPA/HSPA+/DC(デュアルセル)-HSDPAにも対応しており、LTEのサービスエリア外でも2G/3Gで通信可能なので、エリアが限られるサービス初期にも圏外の不安がない。 また、LTEを外したDC-HSDPA対応端末も用意している。DC-HSDPAは2つの基地局の搬送波を利用することで従来のHSDPAに比べ通信速度を倍にする技術で、イー・モバイルとソフトバンクモバイルが導入を検討している。Huawei Technologiesは両社へ端末の納入実績があるため、日本国内でDC-HSDPAのサービスが開始される際に採用される可能性がある。 日本市場では同社の小型Wi-Fiルーター「Pocket WiFi」が人気を集めているが、既に同モデルのHSPA+(下り最大21Mbps)対応製品が既に海外の一部市場に向けて出荷開始されているという。このほかにも、ワールドカップ開催に合わせた南アフリカ向けのサッカーボール型USBモデムなど、たくさんの製品ラインナップを用意している。 同社はかつて、コンシューマー向け製品の分野ではマーケティングコストの低いデータ通信端末に特化する戦略を採っていたが、移動体通信市場での実績を重ねるごとに新しいカテゴリの製品に進出し、最近ではAndroidを採用したスマートフォンやタブレット型情報端末などの開発にも乗り出している。
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