早速のこの端末をレンタルして韓国・ソウル市に向かい、5G商用サービスを体験してきたのでレポートしたい。
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韓国に到着して、まずはGalaxy S10 5Gの電源を投入! ディスプレイ上部のアンテナピクト横に、期待していた「5G」のロゴが無事表示された。韓国の3キャリアのうち、SKテレコムとKTはウェブサイトに5Gのエリアマップを掲載しているのだが、筆者が韓国に取材に出かけた時点で肝心のLG U+はエリアマップを公表していなかった。本当にソウルで5Gの電波をつかむのか正直不安だったが、Galaxy S10 5G を起動したところ、「LTE」表示される場合がのほうが圧倒的に多いにしても、主要部ではしっかり「5G」の表示が出るので一安心した。
早速、スピードチェックである。おなじみのRBB SPEED TESTアプリ(以下、RBBアプリ)を起動し、速度計測を行った。RBBアプリをはじめ、日本のユーザーに利用されている速度計測アプリ等は5Gには原則未対応であるため、5Gネットワークをつかんでいても「LTE」での結果として表示される。それでも実測の通信速度は表示されるので、まずはRBBを使って各所で速度計測を試みた。
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しかし各所で速度計測してみたものの、思ったほど速度が出ない。「5G」のマークが表示されていても、LTE接続と変わらないか、下手をするとLTEよりも遅い場合もある。他の主要な速度計測アプリ等もダウンロードして使ってみたが、計測のタイミングによって速度はまちまちで、ネットワークがかなり不安定な様子がうかがえる。じつはソウル市の中心部にいても「5G」のマークが表示されるのもまれな感じだ。というか、立ち止まって端末をしばらく静止させておくとLTE表示がようやく「5G」に切り替わるといった感じである。
かつて2001年9月に日本で3Gサービスが開催された際のことを思い出した。従来のプラチナバンド(800MHz帯)だった2Gサービスに比べて2GHz帯の周波数を使う3Gサービスは、とにかく電波が入りづらく、とくに建物の中まで電波が回り込んでこなかったり、ちょっとした端末の向きでアンテナピクトが大きく振れたりしたものだった。韓国でスタートした5Gサービスは各キャリアとも3.5GHz帯の周波数(Band 78)を使っており、さらに直進性が強いうえに電波の到達距離も短くなり、わずかな障害物でも電波が遮蔽されてしまう感じだ。とはいえ、ベースのLTEネットワークは充実している韓国だけに、つねに安定したLTEで不都合なく通信サービスは利用でき、運よく5Gネットワークが掴めれば、より高速で快適な通信が約束されるといった印象である。
速度計測アプリによって結果がまちまちなのは、そもそも5Gの通信速度がともすれば下手なブロードバンドよりも高速であるため、ネットワーク上の途中経路上にボトルネックがあって速度が落ちているのではないかと考えられる。速度計測アプリはそれぞれ既定のサーバに接続してデータのダウンロード、アップロードなどの速度を計測するが、速度が速く表示されるアプリはどうやら韓国内のサーバに接続している。一方のRBBアプリの場合は日本のサーバとやり取りしている。これが計測結果に現れてくるのであろう。
やはりここは「郷に入れば郷に従え」だ。韓国の関係者に当たったところ、韓国でメジャーの「BENCHBEE」というアプリが5G対応のアップデートも済んでいて最適であるという回答をいただき、さっそくBENCHBEEアプリをインストールしてその後の速度計測に利用することとした(なお、BENCHBEEをアプリストアからダウンロードするには、韓国のGoogle Playストアにログインする必要がある)。なお参考までに日本帰国後にRBBTODAYアプリとBENCHBEEアプリの通信速度比較を行ったところ(LTE)、韓国での計測結果とは逆転し、RBBアプリのほうが有利に高速な表示となった。
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ところで、よくよくディスプレイの表示を眺めていると、「5G」のネットワーク表示が2パターンあることに気が付いた。5Gの文字を四角で囲った「5G」表示(以下、「白文字の5G」)と、白地の四角に5Gの文字を抜いてある「5G」表示(以下、「白抜き文字の5G」)だ。
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どちらかというと、5Gエリア内では「白文字の5G」がいつも表示されていて、時々反転して「白抜き文字の5G」になったり、元に戻ったりしているような様子だ。速度計測を行うと、どうも「白文字の5G」ではLTEとさほど変わらない速度しか出ない。一方、「白抜き文字の5G」のほうは明らかにそれよりも高速で通信をしている。環境が良ければ500Mbps以上の速度が出ていた。以下で記載している速度計測結果はいずれも「白抜き文字の5G」の状態での計測結果である。
街中を見渡すと、ビル屋上等に基地局をたくさん見かけることができる。どのアンテナが、どのキャリアのどのネットワークのものなのか予測を立てるのも難しいが、アンテナピクトや「5G」の表示の点滅を見ながら端末の向きを変えたりすると明らかに計測速度が変化する。5Gの電波をきちんと受信するのは、かなり難易度が高い。
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では実際に街に出て、5Gの速度を体感してみたい。まずはソウル中心部を流れる漢江(ハンガン)のほとりにある江辺(カンビョン)駅に向かった。この駅を降りると、デジタルカメラやパソコン、スマートフォン、家電などを扱う店舗がひしめるテクノマートがある。まず江辺駅の改札を抜けたところにあったフルーツを並べる露店の前で、Galaxy S10 5Gは「白抜き文字の5G」を表示した。早速速度計測だ。
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江辺駅前での計測結果は、下り146Mbps、上り29.5Mbps、PINGは20.3msと、まずは3桁Mbps台の通信速度を示してくれた。続いて、テクノマートの正面に回ってみることにした。かつてテクノマートといえばソウルの第二の秋葉原(ソウルには龍山というエリアにも巨大な電気街がある)ともてはやされたものだが、最近は家電のフロアが減り、代わりにファッションや生活用品の店舗に入れ替わっている。韓国では家電はわざわざ買いに行くものではなくなり、オンラインで注文し自宅に届くのが当たり前になったのだそうだ。
テクノマート正面の路上では、下り511Mbps、上り65.1Mbps、PINGは30.8msというまずまずの速度が出てきた。
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Galaxy S10 5Gを片手にソウル市内各所を散策したが、5Gの電波が入るのは主要部の屋外と、その電波が回り込んできそうな建物の窓辺ぐらいで、ビルの奥や地下などではまずほとんど電波を掴むことができなかった。これはまだ商用サービスを開始したばかりで、エリア展開を始めたばかりなので仕方ないことだろう。巨大なショッピングモールであるテクノマートは、窓もほとんどない建物なので、この中に入っても5Gの電波は掴めないだろうと思っていたが、なんと携帯電話・スマートフォン売り場のあるフロアでは5Gの電波がバッチリ入ったのだ。
さっそくこのフロアでも速度計測してみたところ、下り369Mbps、上り17.5Mbps、PING27.2msというまずまずな計測結果が出た。ちなみにこのフロアは窓が見えるところはなく、それも相当広いフロアの内部なので、5Gの電波自体は屋内アンテナが設置され、電波を出しているものと思われる。というか、むしろ屋外よりも安定して「白抜き文字の5G」の表示が出ていることに驚かされた。3.5GHzという周波数帯域の電波特性は筆者としてもまだまだ未知なのだが、屋外よりもこのような屋内のほうがWi-Fiの感覚で通信エリアの設計がやりやすいのかもしれない。
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続いて、漢江を渡り、江南(カンナム)駅に向かった。江南エリアは大手企業がオフィスを構えるビジネス街であり、また大型ファッション店やコスメショップ、映画館など並び、朝から深夜まで人通りが絶えないエリアである。江南駅から地上出口に出たところで速度計測を試みた。場所は江南駅11番出口である。
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ここでの計測値は、下り714Mbps、上り64.6Mbps、PINGは20.2msで、これはソウルに滞在中の最高速度を記録した。
世界に先駆けてスタートしたばかりの5G商用サービスであり、まだ不安定な印象が拭えないものの、通信状態が良ければ下り500Mbps~700Mbpsの通信速度でインターネットサービスを利用できるのは驚かされた。実際に大容量のファイルなどをやり取りすると、その通信速度のありがたみがつくづく感じられた。たとえば、スマホのアプリをダウンロードする際も、5Gを使ったダウンロードでは一瞬で(当然、体感的にもWi-Fiよりはるかに迅速に完了)、むしろダウンロード後のインストールに時間が掛かっているような感じだ。
一方、前述のとおり5Gのネットワーク表示に「白文字の5G」と「白抜き文字の5G」の2種の表示があり、「白抜き文字の5G」のほうは明らかに5Gネットワークに接続しているものと思われるが、「白文字の5G」ではLTEとさほど変わらない速度しか出でない。筆者の見立てとしては、おそらく5Gの通信エリアにいることを端末が認識できた時点で「白文字の5G」の表示がなされるのではないか。5Gの通信にはLTEに比べ電力の消費も激しいことが想定され、このため端末の利用状況を見ていわばスタンバイのような状態にしているのではないのだろうか。この「白文字の5G」の状態ではLTE程度の速度しか出ない。そして端末が5Gの電波を確実に掴んで通信可能になっている状態の際に「白抜き文字の5G」の表示に切り替わり、5Gのポテンシャルをフル発揮した通信を行うのではないかと考えた。これらは今後のネットワークや端末のチューニングによってより確実に接続されるものになっていくのだろう。
Galaxy S10 5Gには、一般には公表されていないコマンド操作を行うことで、端末の通信状態を画面表示する「ServiceMode」を見ることができる。この中に5Gに関する通信状態を示す「NR Information」という項目が並んでいるのだが、やはり「白文字の5G」の状態ではNR Informationに何も表示されず、すなわち5Gの電波を掴んでいないことが分かる。これが「白抜き文字の5G」表示の際には、NR Informationの各項目に接続状態が示される。たとえばNR Informationの5行目に「NR Band: 78」という表示が見えるが、これは5GのBand 78(3.5GHz帯)に接続されていることが分かる。
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このように、まだまだ不安定さが残る韓国の5G商用サービスであるが、今後通信エリアの拡張とネットワークの各種調整などによって徐々に改善が図られていくと考えられる。わが国で5G商用サービスがスタートするのは来年以降とされており、先行した韓国は5Gのネットワーク構築や運用をめぐる様々なノウハウを積み重ねていくことになろう。わが国の通信関連事業者がこの後どこまで挽回していくか興味深く見守りたい。
なお、ソウル市内各所での3キャリア別速度計測を別途行っており、これは追ってRBB TODAYにて報告したい。