iPhone 8とiPhone 7はともに12MPのiSightカメラにF値1.8のレンズを搭載しているが、センサーの大型・高速化、カラーフィルターなどが一新されている。画像信号処理プロセッサーも性能がアップしたことで、暗所でのオートフォーカス性能や中間階調の色再現力なども高まっているという。この辺の実力は言葉で説明するよりもiPhone 8とiPhone 7で撮り比べた写真を見比べた方がわかりやすいと思う。


ふだんiPhone 7を使っていてカメラ機能に不満を感じることはほとんどなかったのだが、iPhone 8の写真と比較してしまうと、特に暗所の撮影性能がまた一段と向上したことが明らかに実感されて、これだけでも新しいiPhoneに買い換えたくなる。暗部のノイズがとても少なく、たとえば線路脇に並ぶパネルは奥の方まで輪郭がクッキリと鮮やかに再現されているのがわかるだろうか。建物の壁の色もより鮮やかだ。


ただ直感的にはiPhone 8で撮影した夕焼けは少し本物の色よりも濃い感じがする。写真映えするのはどちらかと聞かれたらiPhone 8の方なので、色合いについては好みで選択すればよいレベルかもしれない。
暗所でのiPhone 8の高い撮影パフォーマンスは夜景を撮るとより明らかになる。月明かりが夜空と滲む光のグラデーションが滑らかで、粒子状のノイズ浮きがしっかりと抑え込まれている。建物の輪郭もキリッとしていてシャープだ。正直に言って実際の風景を目で見ているよりも鮮やかな色彩感、コントラスト感がキャプチャーできてしまっているので、違和感がないこともないのだが、スマホでもこれだけ手軽にキレイな夜景が鮮明に記録できるのなら文句はない。夜景のスナップや暗いところでポートレートを撮るときにもiPhone 8が活躍してくれるはずだ。


動画撮影については本連載の第9回でiPhone 8から採用された滑らかな4K/60p動画の比較を紹介している。端末側の機能としてはほかにも1080p高画質での240fpsスローモーション撮影が可能になった。これらのデータ容量を食いがちなコンテンツを撮影した場合も、動画は圧縮効率の高いH.265/HEVCフォーマットで記録ができるようになり、静止画もHEIFフォーマットに対応したことで、iPhoneの内蔵ストレージが約2倍効率よく使えるようにもなった。iCloudライブラリに上げた写真をPCブラウザなどからJPEG形式でダウンロードしたり、Twitterにも今までと変わらない使い勝手でアップできた。


iPhone 8 Plusもメインのデュアルカメラの画素数は12MP。センサーの進化や暗部撮影性能の強化はiPhone 8同様に確かな手応えが感じられる。新機能の「ポートレートライティング」はベータ版から提供がスタートしているが、デュアルカメラで撮った被写界深度の浅い写真をベースに、さらに背景の明るさを変えて遊べる5つの照明エフェクトを用意した。5種類のライティングは自然光/スタジオ照明/輪郭強調照明/ステージ照明/ステージ照明(モノ)に分かれる。背景が真っ暗になるステージ照明のふたつ以外は穏やかな変化なので差がわかりにくい感じもするが、新しい機能が加わったことでデュアルカメラを活かしたポートレートモードに注目が集まるのではないだろうか。


iPhone 8のパワーアップしたカメラを色んなシーンで使い込むほど、最近スマホで撮れる写真がキレイになったかも?とふと気がつく機会も増えるはず。iPhone 7のカメラも悪くないのだが、特に暗所での高い撮影性能はいよいよ“スマホのカメラ”の域を超えてきたように思う。4K/60p動画撮影など新機能が追加されたことよりも土台の実力が上がっていることにユーザーは十分な満足感が得られると思う。

