App Storeには日々最新のARアプリが追加されている
iPhone/iPadで楽しめるARアプリは、通常のiOS対応アプリと同様にApp Storeからダウンロードできる。AppStoreを開いて「App」タブを選択、少し下にスクロールすると「ARをはじめよう」というヘッドラインが表示される。「すべて表示」を選択すると、AR体験のこと始めに最適なアプリが並んでいるのでチェックしてみよう。


ただ、ここに並んでいるアプリが現在iOS環境で楽しめる全てのARアプリというわけではない。App Storeの「検索」タブを選択して「AR」と文字を入力して検索すれば、よりたくさんの有料・無料のARアプリが見つかるので試してほしい。もちろん個別にARアプリの名前がわかっていれば、検索でダイレクトに探し当ててダウンロードしてもいい。
iOS11によるARエンターテインメントを心地よく体験できる環境としてアップルが推奨するのは6s/6s Plus以降のiPhone、iPad Pro、第5世代以降のiPadなど「A9」チップを搭載するモデル以降の端末。Apple Pencilに対応した最新の第6世代iPadや、発売後も人気のiPhone 8/iPhone 8 Plusの“PRODUCT RED”ももちろん含まれているし、様々なARアプリが快適に動かせるデバイスとしておすすめだ。
役に立つiOS対応のARアプリを紹介
今春にデベロッパ向けに公開されたARKit 1.5から、いくつかの新機能が追加されている。シンプルに言うと「もっと色んな環境に、より高精細なARオブジェクトが配置できるようになった」のだ。
例えばARオブジェクトは床面だけでなく、壁など垂直の面にも配置できるようになる。凹凸のある不規則な面のマッピングも精度が上がった。看板やポスターなど、現実世界のアートワークの上にもARオブジェクトを表示して視覚体験を拡張できるようになるという。街頭広告の表現手法もこれからまた大きく変わっていくのだろうか。美術館や展示会イベントの「解説」にもARが組み込まれるようになれば、役に立つ情報や知識が今よりもっとのみ込みやすくなりそうだ。
現実世界に重ね合わせるARオブジェクトは解像度が高くなり、オートフォーカスにも対応できるようになっている。このようにiPhone/iPadの画面に映し出されるAR空間のリアリティや没入感は日増しにブラッシュアップされているのだ。
いまiPhone/iPadで楽しめる多彩なARコンテンツはいくつかのカテゴリーに分類することができそうだ。その中から最新のおすすめARアプリをいくつか紹介してみよう。
「アート/カルチャー・文教系」
米Boulevard Arts Inc.が開発した「Boulevard AR」が面白い。ARKit 1.5の最新プラットフォーム上で開発されたアプリは、ロンドンナショナル・ポートレート・ギャラリーに収蔵されている絵画を8K解像度のARオブジェクトに変換して収録。シニア・キュレーターによる音声ガイダンスを聴きながらアートへの見識を深められるスグレモノだ。キャンパスに触れられるほど至近距離にまで迫ってみたり、絵画の背面に回り込んだり、現実の美術館ではできない体験をARアプリで実現するというアイデアもまた斬新だ。



「ゲーム系」「ユーティリティ・ビジネス系」
「ゲーム系」のAR対応タイトルはApp Storeに続々と増えつつあるが、宝探しゲームの「ARrrrrgh」はAR空間の中に宝箱を隠したあと、iPhoneを渡した友だちに宝箱を探し当ててもらうという、シンプルなルールながらも長く遊べそうなゲームアプリだ。

「ユーティリティ・ビジネス系」ではやはり地図・ナビゲーションとARの相性がとても良さそうだ。「Yahoo! MAP」のiOS版アプリは、今春から試験的にARKitをベースに開発した「ARモード」を導入。地図で目的地への徒歩ルートを検索してから、画面の右上に表示される「ARモード」のアイコンをタップすると、iPhoneのカメラでキャプチャしている現実世界の画面上に目的地へのルートを示す矢印や残りの距離、曲がり角には看板が表示される。ユーザーが歩いた道のりに「足あと」のビジュアルが残せたり、目的地でオリジナルキャラクターの「けんさく」が手を振って出迎えてくれる気の利いた演出も楽しい。



ビジネスツールとしても期待できる
ARアプリはビジネスツールとしても期待されている。国内ベンチャーのQoncept(コンセプト)が開発した「QHOME」は、iPhoneのカメラでキャプチャした空間の中に実寸大の家屋をARオブジェクトとして再現。“ARの家”の中を歩きまわりながら間取りや広さを確認できる。住宅の販売だけでなく、ARテーマパークのようなエンターテインメントにも用途を広げられそうなアプリだ。


アップルのARエンターテインメントはiPhoneやiPadなど、モバイル端末が手元にあればすぐに楽しめるところが大きな魅力だが、今後は現実世界を拡張するAR体験そのものを、さらに拡張するアップル独自のARデバイスが登場することもあるのだろうか?今年は現地時間6月4日から開催を予定するアップルの開発者会議「WWDC 2018」で発表されるトピックスにも注目したい。
※ARを活用したGoogleMAPの新機能とは