■今までよりも色んな場所にARオブジェクトが置けるようになる
iOSにAR(拡張現実)のテクノロジーを活用したコンテンツ体験が加わったのは昨年にローンチされたiOS 11から。開発環境「ARKit」が整ったことから、App Storeには次々と新しいARアプリが増えている。iOS 11以降を搭載するiPhoneやiPadなどの対応端末が手元にあれば、視覚を刺激する新たなAR体験と誰もが手軽に触れ合える。

アップルはiOS端末で楽しめるARコンテンツの質をさらに高めるため、アップグレードされた開発環境「ARKit 1.5」を発表。アプリ開発者に向けて提供を始めた。具体的にどんなところがパワーアップするのだろうか。
iOS対応のARアプリは、iPhone/iPadカメラでキャプチャした実空間のイメージの中にデジタル画像の仮想オブジェクトを重ね合わせて様々なエンターテインメントを楽しめるのが特徴だ。便利なユーティリティ系アプリもたくさんある。
これまでのARアプリでは実空間から検知した水平面にしか仮想オブジェクトを置けなかったが、iOS 11.3からは壁や柱など垂直面も認識できるようになる。円柱や緩やかに曲がった壁面など不規則な形の面も仮想オブジェクトを置く対象になる。アップデート後には、たとえば部屋全体の模様替えをシミュレーションできるARアプリが登場するかもしれない。

看板やポスター、図版を認識してその上にARオブジェクトを埋め込むこともできるようになる。街頭広告や観光ガイドのビジュアルが一段とリッチになりそうだ。
さらにARオブジェクトの解像度が約50%アップする。オブジェクトへのオートフォーカスにも対応するようだ。ARオブジェクトのリアリティや表現力に磨きがかかれば、いつか遠くない将来にカメラでキャプチャしている実空間と区別が付かなくなる日が来るかもしれない。