近年、認知症高齢者の徘徊による失踪や事故などが社会問題として対策が求められている。 そうした問題の解決策として、さまざまなタイプの見守り端末やサービスが世に出始めているが、それぞれに長所と短所があるのが現状だ。 東京ビッグサイトで開催されていた「中小企業 新ものづくり・新サービス展」にも、そうした徘徊対策や見守りに活用することを想定した「みまもりペンギンシステム」という製品がマークのブースで展示されていたので紹介していこう。 同システムは、ワッペン型やお守り型のNFCタグを活用し、協力者が、ワッペン型やお守り型端末を持った徘徊者らしき人をを見つけたら、声かけして、手持ちのNFC対応のスマホをかざして、位置情報をメールで知らせるというもの。 取得された位置情報は、サーバーに一旦送られ、あらかじめ登録している家族や介護施設のスタッフなどにメールで居場所と一緒に通知される。これら一連の流れには、個人情報をやりとりしないので、不要なトラブルを抑制できる。 ワッペン型なら普段から着ている服に縫い付けることができるため、端末型の課題だった「持ち歩いてもらえない」という面を克服でき、お守り型でも重さを気にせずに持ち歩いたり、身につけることができる点も特徴の1つだといえる。 一方で課題もある。それは協力者が実際に徘徊者に声かけをして、スマホでタグをかざす必要がある点で、一般の人が行うには心理的なハードルが否めない。出展していたマークの説明員によると、協力者として主に想定しているのは、自治体などと連携する徘徊対策ボランティアなどの人たち。そうした人であれば声かけのノウハウなども持っているからだという。 また、普及が進んでいく過程で必要に応じて研修、講習会などを行うことで課題を解決していきたいとのこと。ビジネスモデルとしては、ワッペン型やお守り型タグの個別販売をベースに、システムとして導入する自治体などを探していきたいという。 協力者の能動的なアクションによって成り立つ徘徊対策となるが、認知症高齢者を家族に持つ家庭にとっては、月額利用料が不要で利用できる点は、経済的な負担が少なく、普及する上での大きな強みとなりうる。そして自治体単位で導入され、発見協力の体制が確立されていけば、徘徊対策や見守りシステムとしての有用性は高くなるだろう。