「MWC 2016」(スペイン・バルセロナ)に出展するスウェーデンのベンチャー企業、myFCが開幕前のプレイベントに出展し、燃料電池の技術を応用したポータブルバッテリー「JAQ」のプロトタイプを参考出展した。 myFCはスウェーデン王立工科大学の学生が集まり、2005年に設立した企業。燃料電池の研究成果をベースにしたグリーン電源プロダクトの研究開発を行ってきた。 今回出展するのは、コンシューマー向けのポータブルバッテリー「JAQ」。この製品が一般的なポータブル充電器を大きく異なっている点は、同社が得意とする燃料電池の技術を応用して、発生させたグリーンな電源をベースにモバイル端末の充電を行うためのギアであるところだ。 本体サイズは昨今のポータブルバッテリーとして主流のサイズよりもやや大きめだが、しっかりとポータブルと呼べるサイズ感はキープしている。本体を構成するのはベースユニット「JAQ charger」と、そこに差し込む1枚の薄い「PowerCard」だ。PowerCardの中には発電に必要な「水素」を発生させるための「水」と普通の「塩(NaCl)」が内包されていて、ベースユニットのトップから差し込むことで化学反応を発生させる。 1枚のカードで発電できるバッテリーの容量が異なる3種類の製品を予定しており、最小サイズの900mAhのバッテリーを発生させることができるカードから、今春より発売が始まる予定だ。価格は1~2ユーロ前後を見込んでいる。夏以降には1,800mAh、年内から年明けごろには2,400mAhのカードを順次発売する。 充電完了後のPowerCardはリフィルには対応していないため使い捨てとなるが、1枚あたりの価格は安価なので実用には十分耐えられるのではないだろうか。 再生可能エネルギーを使ったバッテリーチャージャーとしては太陽光充電を活用したものがすでにいくつか商品化されている事例もあるが、myFCの「JAQ」のメリットとしては、太陽光発電が弱点としている曇天下でも問題なく充電ができるので、ポータブルバッテリーとしての効率よく使えるところにある。 ブースの説明を担当していた同社のスタッフによれば今後欧州を中心に世界展開を計画しているという。すでに日本のネットワーク事業者から引き合いもあったようで、「日本での発売もぜひ実現したい」と意気込みを語っていた。
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