■MVNOが大躍進、そしてSIMフリースマホも続々と登場 2015年は、MVNO(= Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者)が大躍進を果たした1年でもあった。MVNOとは、既存の移動体通信事業者(MNO)から設備を借りて独自ブランドでサービス提供を行う通信事業者のこと。もちろんMVNOは以前から存在し、サービス提供は行われていたが、ようやく一般の消費者にも認知されるようになり、「特別なもの」ではなくなったという点が2015年のポイントである。 MVNO事業者数の実態に迫るデータで最適なものが見つからなかったが、2014年12月時点までのMVNO事業者数の推移を総務省が公表していた。これによると、2013年12月時点で155事業者だったMVNOが2014年12月時点で170事業者まで増加している。2015年はさらに勢いを付けて事業者数が増加したのではないかと見ている。 一般の消費者にMVNOが浸透するきっかけとなったのは、2014年春にイオングループが格安スマホとMVNO回線(SIMカード)をセットで販売したことだった。わが国では長らく、端末と回線契約はセットで提供されるものとして認知されていたため、SIMカードのみを取り扱うMVNOにはなかなか目が向かなかった。しかし、このイオンの販売手法に習い、その後のMVNOは端末を独自調達するなどして、格安スマホとSIMカードのセット販売で契約者数を増やし、MVNO業界の成長に寄与してきたといえそうだ。 同時に、中古スマホ流通の拡大も期待され、中古スマホの取り扱いに力を注ぐチェーンも登場した。レンタルDVDチェーン大手のゲオホールディングス(以下、ゲオ)は2015年4月、NTTコミュニケーションズと業務提携し独自ブランドのMVNO通信サービス「ゲオ×OCN ONE」を商品化し全国のゲオ(1,047店舗)で販売を開始しただけでなく、SIMカードのほかに新品・中古スマホの取り扱いも行うモバイル専門ショップ「ゲオモバイル」をオープンさせ、2016年度までには全国100店の開店を目指している。国内にて、同社チェーンで下取りされた中古端末のほかに、HUAWEI製、FREETEL製の格安新品スマホも取り揃え、本格的なモバイル専門店を目指している。 イオンのように、じつはMVNOにとって重要なのことは、SIMカードとともに販売するスマホ端末をラインアップすることももちろんだが、詳しく説明を聞きながら購入することができる「店頭窓口」があるかどうかも、一般の消費者を取り込むのに大きなポイントとなる。 またいつまでも「格安」を売りにするだけでは、MVNO同士の消耗戦になってしまう。MVNOの独自性も求められてきているところだ。そうしたなかで、後発ながら異色のMVNOとして注目されているのがエックスモバイルの「もしもシークス」だ。独自の代理店制度を打ち出し、現在全国19店舗(春までに49店舗に拡大予定)の店頭窓口を展開するほか、かつてウィルコムで発売され話題になった「イエデンワ」のセルラー版である「スゴい電話」や、国内未発売の「ブラックベリー」を販売するなど、個性際立ったMVNOとして注目されている。
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