このように、従来なかなか外国人が行けなかった場所に、Voyaginがインターネットを通じて導いている状況だ。高橋氏は、人気ツアーを通じ、インバウンドで街づくりをするためのヒントについて触れた。まず1つ目の事例は長野県のスノーモンキーだ。ただサルが温泉に入るだけなのだが、外国人にはなぜか大人気。この感覚は日本人には理解できないかもしれない。「実は、長野オリンピックが開催されたとき、たまたま外国人が見つけて口コミで広がったものだ。そこで現地までのアクセスをよくしたり、多言語化を進めるなど、後追いで施設を充実させ、より多くの外国人旅行者を呼び込めた成功例だ」(高橋氏) 2つ目の事例は飛騨高山の白川郷だ。日本で里山の代名詞のような存在になった白川郷だが、ここも旅行者の7~8割が外国人だ。こちらは前例と真逆で、まずインフラを整備して、多言語化(英語、中国語、タイ語に対応)することで、外国人が来やすくなったことが成功の要因だ。「驚くことに、いま現地では小学生までにインバウンド教育をしている。外国人にあったら逃げないで、ハローと言ってください、という教育だ。旅行先で現地の人がどんな接し方をしてくれたかは重要。子どもまでフレンドリーに接してくれると、日本は凄いと好印象を与えられる」(高橋氏) そして3つ目の事例は岐阜県の刀鍛冶体験だ。これはインバウンドの世界では、まだメジャーではないが、Voyaginに載せた途端に人気が出たものだ。アクセスの悪い場所で、体験料金も34,000円という高額にもかかわらず、毎日10件以上の外国人来訪者があるそうだ。 高橋氏は「本当にその場所でしか体験できないことをしっかりと情報として発信すれば、どんなに値段が高かろうが、どんなにアクセスが悪かろうが、外国人観光客はやって来る」と強調する。魅力的な地域の資源を見つけ、インフラを整備し、情報を発信して、実際に体験してもらう。その感動をSNSなどでシェアしてもらうことで、より認知度が広まるという好循環のサイクルをつくり出す。それがインバウンドで街づくりをするヒントになる。とはいえ、一番難しいのは、魅力的な地域の資源を見つけることだ。「魅力的な資源とは日本固有の日常だ。それをどう見せていくか。お茶を栽培していれば、茶摘み体験をさせてあげたり、漁師であればカキの殻剥きをして新鮮な魚介類を食べさせてあげる。身近な地元の祭りに参加してもらうなど、自分たちの日常と外国人をいかにつなぐかということが大切だ」(高橋氏) 最後に同氏は「うまくインバウンドを進めるためには、とにかく諦めずに続けることが重要。外国人相手なので、なかなか成果も出づらいが、続けていくと足し算が掛け算になっていく。Voyaginも3年ぐらいは集客できず、役員無給の時代が続いたが、試行錯誤しながら続けていくことで、大変よいサイクルに入れた。チームジャパンとして、もっと外国人の皆さんに日本の良さを伝えていきましょう!」と聴衆に呼びかけていた。