NTTドコモの大松澤清博取締役常務執行役員は「LTE-Advancedは、PREMIUM 4Gとして速さと快適さに次なる進化をもたらす」と述べ、LTEが新しいステージへ進んだことを強調した。
PREMIUM 4Gは、複数の周波数帯を束ねる「キャリアアグリゲーション技術」と、集中するトラフィックをオフロードする「アドオンセル技術」を進化させた「高度化C-RAN」によって、国内最速の下り225Mbpsを実現する。キャリアアグリゲーションでは800MHz帯(75Mbps)+1.7GHz帯(150Mbps)と、1.5GHz帯(112.5Mbps)+2GHz帯(112.5Mbps)の本格的な2本の組み合わせによって最大225Mbpsを提供できる。「これにより、ファイルのダウンロード時間を従来のLTEと比べて、60%に短縮できるようになった」(大松澤氏)。
一方の快適性という面では、高度化C-RANによるアドオンセルの活用によって、トラフィックが集中するエリアでの無線容量を増大させ、実効速度を従来のLTEと比べて70%アップさせたという。
「NTTドコモは2014年11月より、神奈川県・茨城県・北海道でフィールドテストを実施してきたが、この3月27日より全国22都道府県38都市から重点的にエリア展開を行う。たとえば、東京では利用者が多いJR山手線周辺駅より順次展開する予定だ。池袋、新宿、渋谷、品川、新橋、東京などの各駅で実効速度を高めていく」(大松澤氏)。
なお、現在のところPREMIUM 4Gに対応するのは、LTE Category6以上の端末となっている。具体的には、モバイルWi-Fiルータ「Wi-Fi Station HW-02G」(2月18日発売)と「Wi-Fi Station L-01G」(3月発売予定)の2機種だ。残念ながらスマートフォンについては現時点では未対応だが、2015年早期に発売する予定だという。さらにサービス開始に先行し、2月よりビジネスパートナーと共同でフィールドトライアルを実施するほか、本日より3日間にわたりPREMIUM 4Gを用いた法人向けソリューション体験イベントも開催するそうだ。
また、東京(丸の内ドコモラウンジ)、名古屋(栄スマートフォンラウンジ)、大阪(グランフロント大阪)において、262.5Mbpsの超高速体験スポットもオープンする。262.5Mbpsの場合は、800MHz帯(112.5Mbps)+1.7MHz帯(150MHz)を束ねて実現しているそうだ。「我々は、皆様のスマートライフのパートナーになるために、さらなる高速化を進めていく。225Mbpsにちなんで、本日2月25日にPREMIUM 4Gを発表させていただいたが、PREMIUM 4Gはさらに2015年度内に300Mbpsへ高速化する予定だ。そして2016年度には300Mbps超、さらに5Gへと進化させていく方針だ」(大松澤氏)。
NTTドコモが目指すところは、国際標準を見据えて、技術革新を先導する最新ネットワークを提供することにある。また技術力や開発力に裏打ちされたサービスを進化させるシンプルなネットワークや、従来技術から最新技術までをバランスよく取り込んだ効率的なネットワークを目指していくそうだ。最後に大松澤氏は「ドコモのネットワークは、いつでも、どこでも、快適なモバイル通信を提供するように進化し続けていく」とまとめ、実際にリアルタイムで本会場で計測したPREMIUM 4Gの平均速度(208Mbps)を示して発表を終えた。
質疑応答やぶら下がり会見では、「まだPREMIUM 4Gに対応するスマートホンも登場していないうちに、なぜいまのタイミングで発表なのか?」という質問もあった。これについては、昨年秋にアナウンスした予定通りのスケジュールであり、最高の高速化による快適性を示したいという点、さらに今年早期に発売するスマートホンへの様子見という側面もあるようだ。
またスピードについては「すでに十分速く、あとは利活用への幅が広がるのでは?」という質問も上がった。「公式上の最高速度だけでなく、その能力を活かし、トラフィックが集中するような場所でも実効速度を上げて快適にしていきたい」(大松澤氏)という。具体的なシーンでは、多くのユーザーがコンシェルジェや翻訳サービスなどの負荷の高いサービスを同時にアクセスするシーンなどを想定。
またデモでは、実効速度の測定のほか、4K動画を再生して、サクサクとストリーミングができる様子も示していた。PREMIUM 4Gは、数年後の5Gサービスへの橋渡し的な存在であり、5Gサービスの実現に向けたキャリアアグリゲーション技術や、電波利用を効率化するMIMO技術、トラフィックの込み具合に合わせてセル間の干渉をコーディネートする技術など、重要なコア技術が多く含まれている。それらの技術を駆使し、ユーザーの需要に見合うキャパシティを確保していく方向だという。