■一番気になるのがLTEの対応バンド 次期iPhoneで多くのユーザーが知りたがっていることは、日本の通信事業者が展開するLTEバンドにどこまで対応するかという点だ。かつて800MHz帯や1.5GHz帯を中心にLTEエリアを整備していたKDDIにとって、2GHz帯のLTEにしか対応しなかったiPhone 5は大きな痛手だった。iPhone 5では、KDDIに割り当てられていた800Hz帯や1.5GHz帯のLTE方式には対応していなかったからだ。ソフトバンクは2GHz帯のみでしかLTE方式を整備できない状況にあったため、iPhone 5発売時はLTEエリアで有利に立った。しかも当時1.7GHz帯でLTE方式のエリア整備を始めていたイー・アクセスを傘下に収めたが、たまたまiPhone 5はこの帯域でもLTEに対応していたため、ソフトバンクにとって追い風となった。 iPhone 5がいい教訓であったが、通信事業者がLTEネットワークをどれだけ整備しても、端末側がそのバンドに対応していなければ、ネットワークは有効に活用できない。その後のiPhone 5s/5cでは、KDDIが主力的に整備してきたLTEバンドにも対応してくれたおかげで、LTEが利用できるエリアはソフトバンクと逆転するほど使い勝手が良くなった。とはいえ、iPhone 5s/5cでも、まだわが国で使われている周波数帯域の全てに対応しているわけではない。KDDIやソフトバンクが次期iPhoneに期待していることは、2.5GHz帯の対応だろう。 この2.5GHz帯は、KDDIグループはUQコミュニケーションズでWiMAXおよびWiMAX 2+方式でサービス提供を行っている。同様に、ソフトバンクグループは、ワイヤレスシティプランニングがAXGP方式としてエリア整備し、ソフトバンク4Gとしてサービス提供を行っている。これらの帯域に対応したAndroidスマホは一部発売されているが、大きなシェアを占める端末といえるiPhoneにおいてもぜひ対応して欲しい帯域として両キャリアが熱望していた。(WiMAX 2+およびAXGPは共にTD-LTE方式と互換性がある) じつはソフトバンクが傘下に収めた米スプリントも、同様に2.5GHz帯でLTE(TD-LTE)のネットワークを持つ。ソフトバンクグループは、ソフトバンクの加入者数3,648万人(2014年6月末時点)と、スプリントの加入者5,426万人(2014年6月末時点)を合わせれば、9,074万人の加入者を抱える通信事業者となる。これだけの規模になれば、アップルに対して、ソフトバンクに有利になるようなLTEバンド対応を要求することもできるであろう。ということで、次期日本向けのiPhoneでも、2.5GHz帯のLTE(バンド41)にも対応してくれるのではないかと予測する。 同時に、今後世界の多くの通信事業者がLTE方式を展開するとされている700MHz帯(バンド28)への対応にも期待したいところ。日本においても、700MHz帯は3事業者に割り当てられ、2015年以降、LTE方式でサービス提供を開始することが決まっている。日本の3キャリアで展開される周波数帯域だけに、これはアップルとしても無視できないはずだ。
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