正義に燃えるヒーロー“ローン・レンジャー”と、復讐に燃える戦士“トント”が大暴れする映画『ローン・レンジャー』。監督のゴア・ヴァービンスキーが、古典を復活させた理由、ジョニー・デップの役作り、アドリブ無しの脚本など、作品について語った。--- 古典の『ローン・レンジャー』を復活させた理由はなんですか?ヴァービンスキー監督 --- やりたかったことは古典の再解釈です。ドンキホーテとサンチョ・パンサみたいな、“バディ”ものとして描きたかったのです。そして物語の根底には「正義」と「復習」があります。どういうふうにこれらを表現するか、ひねりを加えました。--- 有名なキャラクターで作品を作るのは、オリジナルの役で映画を作るのと違いますか。違うならどう違いますか?ヴァービンスキー監督 --- トントは、従来の『ローン・レンジャー』では主人公の相棒、サイドキックだったのですが、彼を主役に押し上げました。映画はトントの視点から描かれます。このように既存のキャラクターでも、物語のアプローチを新しくすることはできるのです。--- 従来とは師弟関係が逆になりました。ヴァービンスキー監督 --- それが、先ほど言った“ひねり”です。--- 過去のトントと比べて、今回のジョニー・デップはかなり個性の強い姿です。トントの役作りには、監督の意図と、本人の工夫と、どちらが大きいのでしょうか。ヴァービンスキー監督 --- 外観にはジョニーが、内面、性格には私の貢献が大きいですね。物語は悲劇から始まるのですが、それがどう起きたのかというストーリーは役作りと同時に進行しました。例えば、トントの頭にカラスをのせるというのはジョニーのアイデアで、そこから脚本家が、どういういきさつでカラスが頭にのったのかを考えたんですよ。--- 面白いですね。共演のアーミー・ハマーは、脚本が良かったのでアドリブはほとんどなかった、と言っています。監督にとって脚本は、俳優をつなぎ止めるアンカー(碇)ですか。それとも俳優が役柄や台詞を自分で作り上げるためのガイドですか。ヴァービンスキー監督 --- 今回の作品で、私と脚本のジャスティン(ヘイス)は、18ヵ月の間、共同で作業をしました。ジョニーもときどきやって来ました。そこで様々なアドリブは出尽くしたので、決定稿で台詞は固まっていたというわけです。なので撮影時には言葉は変えませんでした。演技でのアドリブや試行錯誤はもちろんありましたけどね。だからどのシーンも誠実なシーンになっていると思います。『ローン・レンジャー』は8月2日(金)より丸の内ピカデリー1ほか日本全国公開。