日本電気(NEC)は9日、天候変化の影響を受けずに、地上のあらゆる場所で生態観測や資源探索を可能にする光解析技術を開発したことを発表した。 従来、光の組成(分光スペクトル)は、航空機などに搭載した“分光スペクトルカメラ”で観測するが、現状では、曇天など晴天以外の天候では正しい情報が得られない、観測対象の近辺に基準物体(完全白色板など)をあらかじめめ配置しなければならないなどの制約があった。 新技術では、晴天から曇天までの天候下における昼光の組成(300nm~4000nmまでの各波長の強度)を近似する方法(昼光モデル)を世界で初めて実現。観測した分光スペクトルから、物体の材質や状態を表わす情報(表面反射率)を、天候の影響を受けることなく、安定かつ正確に推定できる。また、観測される分光スペクトルのみから物体の表面反射率が推定できるため、基準物体も必要がない。 これにより、地球規模の生態観測や、新たな資源の調査が可能となり、広大な洋上において遭難者や船舶を高精度に発見したり、大規模農地や人間の立ち入りが困難な森林奥地において植物の種類や生育状況を観測したりすることが可能になる見込みだ。 なおNECは、成果の1つである天候変化に対応可能な昼光モデルを、つくば国際会議場にて開催される、パターン認識技術に関する国際会議「ICPR2012」において、13日に発表を行う予定。