IHIは、子会社で宇宙事業を展開しているIHIエアロスペースが宇宙航空研究開発機構(JAXA)との契約で開発した宇宙機/衛星推進用エンジン「スラスタ」を宇宙ステーション補給機HTV5号機に搭載されることが決定したと発表した。HTVへのスラスタの搭載は今年7月にH-IIBロケットによって打ち上げられたHTV3号機に次ぐもの。HTVには、主に軌道変更に使われる推力500N級のメインエンジン「HBT-5」4基、軌道変更と姿勢制御に使われる推力120N級のRCSスラスタ「HBT-1」28基の計32基のスラスタが搭載される。今回IHIエアロ製の採用決定で120Nクラスのスラスタで初の国産スラスタが搭載されることになる。HTV3号機、HTV5号機は、両スラスタとも燃料には国産スラスタとしては初となるモノメチルヒドラジン(MMH)を使用、酸化剤にはMON-3を使用する。MMHは比較的取扱いが容易なことから海外では多くの衛星や宇宙機の燃料として採用されている。国産スラスタが搭載されたHTV3号機は、今年7月21日のH-IIBによる打ち上げ、9月13日のISS離脱、9月14日の大気圏再突入までの全てのミッションで所定の性能を発揮し、ミッションの成功に貢献した。今回これらの成功をもとにHTV5号機にも国産スラスタが搭載されることが決まった。