KDDI研究所は7日、フルHD(1,920×1,080ピクセル)の16倍に匹敵するスーパーハイビジョン映像を、高圧縮によりリアルタイム伝送が可能な小型コーデック装置を開発したと発表した。 スーパーハイビジョンは7,680×4,320ピクセルの画素数を持つ超高精細映像で、水平方向の画素数がおよそ8,000ピクセルであることから「8K映像」とも呼ばれる。これは、デジタルシネマの4K(4,096×2,160ピクセル)の3.75倍となるもので、スーパーハイビジョンに対応した撮影・表示技術はおもにNHKにより開発されている。 8K映像は、超大画面ディスプレイでのパブリックビューイングや、将来のテレビ放送方式の実用化に向けて研究が進められているという。しかし、これまでの装置構成はハイビジョン用H.264方式のコーデックを16台程度用いる非常に大がかりなもので、衛星放送やFTTHなどの家庭向け回線の伝送容量内に収めることは難しいとされていた。 今回、同研究所ではスーパーハイビジョンに対応した映像圧縮符号化方式を新たに確立。H.264方式の基本性能を維持しながらも、70Mbpsという超低ビットレートによる圧縮伝送を実現した。また、同方式を採用したリアルタイムコーデックをハードウェア装置として開発。プログラム可能な半導体チップであるFPGAを利用したソフトウェアベースの実装とすることで、エンコーダー、デコーダーともに大幅な小型化に成功。従来に比べ、およそ8分の1の大きさとした。 今後は、圧縮性能の改善を推し進め、スポーツイベントなどのライブ中継をターゲットとしながら、放送用インフラを活用した伝送試験を行なうとした。