ヒューレット・パッカードは、webOSをPCにも展開することで新しいビジネスモデルを構築しようとしている。それは、従来のハードウェアビジネスからコンテンツ重視のビジネスへの転換だ。 開発者にとってはwebOS用にアプリケーションを開発すれば、世界で最も売れている同社のデバイスでアプリを展開できるというメリットがある。また、すでにiOSのプラットフォームでアプリケーションを開発している人にとっては、webOSへの移植を簡単に行うことができる。Personal System GroupのSenior Vice PresidentであるJos Brenkel氏は、「ここがエイサーやレノボといったメーカーと決定的に違うところだ」と自信を見せる。氏によると、エイサーやレノボは依然としてハードウェアビジネスの土俵でいくつ販売できるかを競っていかなければいけないが、同社は加えてコンテンツビジネスで売り上げを伸ばしていくとしている。――日本でのwebOSの展開時期について教えてほしいまだ確定していない。ローカライズが一番の難題になるだろう。夏に米国でスタートし、中国が年内中を予定している。日本はその後になる。――その時にデスクトップやラップトップにも展開していくということか?そうだ。Windows環境の上で展開することを予定しているので、どのデバイスを使っても同じUIでアクセスできる環境になる。――Windows OSにwebOSがのった製品になるのか、それともwebOS単体のものがでるのか?webOSだけの展開は考えていない。ユーザーはWindowsの環境に慣れているので、その上でwebOSを使っていくのがいいと思っている。webOSの直感的な操作性を、すでに慣れている環境で使うことが望ましい。――スマートフォンに搭載されているものとPCに搭載されるwebOSは違うものになるのか?同じものだ。同じルックアンドフィールで、中身も同じだ。――全てのデバイスで同じ操作感を実現するというのは、エイサーのクリアファイ(clear.fi)に似ている。HPはコンテンツ配信サービスも行っていくのか?エイサーはOSをもっていない。そのため、AndroidやWindowsを使っている。全く異なるビジネスモデルだ。――ユーザーからみると、アプリケーションを使うという意味ではエイサーのサービスとHPサービスに差はない。これはOSの問題ではないということだ。要は、その上で動くものをHPは創っていくのかどうかエイサーはハードウェアビジネスだ。誰かにアプリケーションを作ってもらわなければいけない。したがって、彼らはハードでマージンがとれなければ生き残っていけない。HPはアップルと同じで、エコシステムのなかでアプリケーションを売っていくので、その分での収益確保をできると思っている。――HP Appストアみたいなものになるのか?“カタログ”というものがすでに存在している。――ビジネスモデルを確認したい。webOSのライセンス販売はせずに、Windowsの拡張につとめるということだが、収益はハードで上げるのか?パームの買収に14億ドルを投資しているため、相当な台数を販売しないと回収は難しいのではないか?アップルのアプリケーションのマージンや、そのビジネスモデルを考えていただきたい。我々は営業利益率で6.4%をとっている。エイサーやレノボは1.6%だ。完全にコモディティー化した環境でも、HPは5倍の営業利益を確保しているのだ。しかも、TouchPadにwebOSを搭載した時には、OSのライセンス料を払う必要がないのだ。――まずハードウェアビジネスからはじめて、コンテンツビジネスを強化していくということか?逆だ。コンテンツが先で、ハードウェアがその後だ。コンテンツが市場に出回っていないとハードウェアは売れない。ここの視点がエイサーやレノボと、HPのマーケティングとの異なる点だ。ハードウェアはコンテンツにアクセスするための手段にすぎない。――webOS搭載製品のシェアはどれくらいになるのか?またエンタープライズ向けにも同時にローンチしていくのか?シェアについては具体的に申し上げることはできない。ただ、webOSのシェアというよりはwebOSのコンテンツでどれだけのシェアをとれるかというこだが重要だ。現在、我々はデバイスでシェアNO.1となっている。今度はコンテンツでシェアNo.1になるのだ。エイサーとレノボは、ハードウェアマーケットでいかにシェアをとるかの戦いを続けなければいけない。我々は違うところで、webOSでシェアを伸ばしていく。また、エンタープライズマーケットはキーエリアだ。