インテルは13日、都内で記者会見を開催し2010年を振り返る報告を行った。 同社代表取締役社長の吉田和正氏は、インテルの10大ニュースとして次を挙げた。・コンティニュア対応機器とサービスの普及、20を超えるサービス企業の発表・インテル Atomプロセッサ CE4100搭載スマートTVの登場・MacAfeeとInfineonの買収・東芝と共同でクラスメイトPCを商品化・WiMAXの普及が加速。内蔵PCが46モデルに・50Gbpsのデータ伝送が可能な光伝送技術、研究成果を発表・インテル Xeonプロセッサ 5600番台・インテル Core i7、i5、i3プロセッサが浸透・次世代22nmプロセス技術の製造施設開設に向け60~80億ドル規模の投資・Fab68(前工程)、AT9(後工程)の操業を開始 氏は、1月にラスベガスで開催されたCES 2010で新CPUを発表して以来、32nm製品として初めての6コア搭載「Core i7-980Xプロセッサー」を3月に発表したことなどを紹介しながら、5月にはインテルCoreプロセッサーへの移行が急速に進み、「出荷開始から約4ヵ月でノートブックPC市場の約8割を占めることになった。9月にはそのなかで約半数はCore i5を搭載することとなった」とコメントした。なお、自身が代表取締役になった当時を振り返り、「PCの付加価値を上げようということでBaniasというアーキテクチャを紹介したが、その上にCentrinoモバイルテクノロジというものがあったのが。ユーザーは高性能ということに付加価値を見出してくれる。その流れができてきた」として新CPU投入の重要性を強調。来月登場予定となる第2世代の“Sandy Bridge”とその動きに注目していると話した。 また、今年6月に1周年を迎えたWiMAXについても言及した。基地局も1万局を超え、カバーエリアも順調に拡大、WiMAX内蔵のPCも増加していることに触れながら、内蔵PC自体は1年で4倍に増加したと紹介。「世界から見ると日本の進み方は早かった。日本での展開が様々な地域でブロードバンドワイヤレスを加速させるのは間違いない」と自信を見せた。ちなみに、契約件数は10月は36,200件だったが、11月は61,900件に増加したことが挙げられた。 エンタープライズ分野では、2009年にIT投資が相当落ち込んだが、2010年には若干回復した。「企業向けクライアントの年率の伸びは、おそらく15%」伸びたという。春からItaniumプロセッサー 9300、Xeon 5500、Xeon 5600、Xeon7500とたて続けにサーバーのラインを強化。「企業向けからスーパーコンピューターまでXeonが相当浸透した年だった」と振り返った。また、今後はデータセンターとエネルギーの関係が強くなり、そこに新たな展開・進化が見られるだろうと語った。 インテルではインターネットに接続する機器が、現在の30億台から、2015年には150億台に増加すると予想している。これを推進するのが組み込み分野だ。吉田氏は「今年は組み込み向けのトレードショーが多く開催された。そこではAtomプロセッサを中心に様々な機器への採用が進んだ。この流れはもっともっと加速され、次世代のデジタルサイネージ、オフィス機器、白物家電(ネット対応)にも採用されていくだろう」とし、同社のコンティニュアム(コンピューティング)が進むと話した。 これらの市場の供給を支えるのが製造施設への投資だ。同社は次世代技術を推し進めるために60億ドル規模の投資を行った。具体的には、オレゴンの製造技術開発施設となる「D1X」(2013年に研究開発を開始)、アリゾナのFab12、Fab32、オレゴンのD1D、D1Cといった拠点だ。これらの施設はパソコン市場だけではなく、Atomが今後活躍する組み込み型、モバイル系など新しい分野にインテルのシロコンを投入していくことを支援する。氏はこれらの動きにより「供給責任をしっかり果たしていく」と強調した。 吉田氏は最後にCPUの開発サイクル(インテル独自のTick-Tock開発モデル)を紹介しながら、製品のリフレッシュサイクルは本当に短くなったと感想を漏らした。「パソコンが1年に1度リフレッシュして驚かれたのは昔のことだ。(今では)パソコン以上にサイクルの短いものが結構ある。携帯もスマートフォンもテレビも、ゴルフクラブも年に2回も3回も新製品が投入される。ある意味(新しいものに)麻痺してしまうということもあるが、PCが基軸になって新しい世界が手に入り、目の前に展開されていき、今後は何かを自分で作り上げていきたいという時代に入っていく。より自分が目指しているものがパソコンを通して構築していける方向に動いていく。そういう高いデマンドに応えていきたい」と語った。
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