クラウドを利用することでICTリソースの効率運用や管理コストの削減ができることを、知識として知ってはいても、自社のシステムのどの部分をクラウドに移行すればよいのかといったところまでは考えが至らない情シス担当者も多いのではないだろうか。あるいは、クラウド移行できそうなシステムばかりに目が向き、およそクラウドとは縁が遠そうな業務を見落としていたりはしないだろうか。 富士通フォーラム2010の「クラウドでグループ会社ガバナンスを強化」ブースでは、PaaS活用によるプライベートSaaSの構築という、非常に興味深い事例をデモンストレーション展示している。アウトソーシング事業本部 Webソリューションセンター Webインテグレーション部 プロジェクト課長の宮川竜二郎氏に話を聞いた。 Excelワークシートの行と列をレコードとフィールドに見立てて、簡単なデータベース代わりに利用するケースは多い。この手法のデメリットは、大規模な運用に向かず、複数の人間が同時平行的にシートにデータを入力して、それを集計したいといった場合に、業務が非常に煩雑になることだ。ワークシートの数は膨大になり、集計作業も、まずある程度の規模で集計し、まとめたものを持ち寄って、さらに集計していくといった、バケツリレー方式の業務になってしまう。 同ブースで事例としてあげられているのは、世界約50か国、約25,000人の利用者から上がってくる業務改善データの収集・集計業務の標準化、一元管理による経営効率の改善という課題を解決するというものだ。外部サービスの導入も視野に入れ、短期間でのシステム構築と運用コストの削減を同時に追求していく必要もある。 その解決策が、PaaS活用によるプライベートSaaSの構築だ。この事例で肝となるのは、同社が販売開始した簡易Webツール「RapidWeb+」だ。RapidWeb+は、Excelで行っている業務を簡単にWebアプリケーション化できるソリューションで、簡易WebツールはSaaS型のアプリケーションとして提供される。プログラムレスでシステム化できるため、納期も早く、カスタマイズされたツールが最短5日程度で提供されるという。 簡易Webツールで入力されたデータは、データベースに保存されるため、常に最新の集計結果を閲覧することができるようになる。また、元のワークシートが忠実に再現されているため、システム置き換え時に必要となるエンドユーザの教育も最小限で済むだろう。 同事例では、同社データセンターに用意されたSaaSアプリケーションプラットフォーム(PaaS)上に、暗号化されたデータベースと簡易Webツールを導入し、プライベートSaaSを構築することで、従来のExcelによる業務をクラウドへと移行させることを提案している。実は、このソリューションで得られるのは、ここで紹介した業務の効率化やコストダウンだけではない。データベースの暗号化や操作証跡取得・管理など、従来のExcelワークシートでの運用では難しかったガバナンスの強化も実現することができるのだ。 もう一度社内を見回って、効率化できていない業務や、ガバナンスの観点から安全性が確保できていない業務など、見落としがないかどうかを確認してみるとよいだろう。
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