12日、ポリコムジャパンは、フルHD(1080p)対応のビデオ会議システムと、クライアントデスクトップ環境を含む企業内、拠点間のコミュニケーションを統合化するソリューションを発表した。 まず、フルHD対応のビデオ会議システムは同社のHDX 8000シリーズの最新モデルとなるPolycom HDX 8006だ。解像度とフレームレートは1080p/30fpsと720p/60fpsとなっている。720pのハイビジョン対応のビデオ会議システムはすでにラインナップされているが、今回の8006では、60fpsと従来の30fpsに比べて2倍のフレームレートになっている。ビデオ会議において、解像度も重要だがスムースな動きという点ではフレームレートの改善は効果が高いといわれている。HDX 8006では、720p/60fpsで必要な帯域幅は2Mbps、1080p/30fpsでは3Mbpsだそうだ。一般的なビデオ会議では720p/60fpsで十分高画質な映像が再現可能だが、遠隔医療や放送アプリケーションなどのために1080p/30fpsまで対応させた。 発表会のデモでは、103インチのプラズマディスプレイを利用して行われた。画質についてはビデオ会議の画像とは思えないほど自然だ。たまに動きが速い映像のときに、ブロックノイズを確認できることもあったがストレスは感じない。逆にこのクオリティがテレビ会議で実現しているというすごさを忘れてしまうくらいだ。デモでは、これまでの解像度ではストレスのもとになっていた、ホワイトボードの文字や印刷物をカメラに写したときの文字などが違和感なく読めるということを実演していた。これなど、従来のテレビ会議でストレスを感じていた人は、フルHDのメリットが実感できるだろう。 クライアントのデスクトップ環境を含めて企業内コミュニケーションを統合化するソリューションについては、HDXシリーズのソフトウェアの最新バージョン(Polycom HDX リリース2.5)によってCMA(Polycom Converged Management Application)との統合を可能にするものだ。今回発表されたモデルはPolycom CMA 4000/5000だ。これらによって、導入企業は、建物内、海外を含む拠点間でのビデオ会議だけでなく、社員のデスクトップPCを使ったチャット、ビデオメッセンジャー、ファイル共有などを統合的に管理できるようになる。統合化によって管理できるコンポーネントには、このCMAのほか、LDAPやActive Directory、拠点間の会議リソース(アカウント、ポートなど)のスケジューリングなどを行うPolycom DMA(Distributed Media Application)なども含まれる。各クライアントPCでは、CMAから配布されるデスクトップアプリケーションを利用するわけだが、この画面やUIはWindowsメッセンジャーやSkypeに似たものになっており、メンバーの在席情報や会議予約など簡単に設定できる。 こちらのデモは、会場となったホテルの会議室、客室に設置された社員のPC、シンガポールオフィスのPCなどをつないで行われた。例えば、客室のPCから、そのPCに保存されているプレゼン資料をテレビ会議画面に表示させながらCMAソリューションを説明していた。 インターネットメールは、スパムやセキュリティ脅威によって本来のコミュニケーション機能が阻害されている現実がある。折りしも、同日グーグルはGmailのビデオチャット機能などをエンタープライズ向けサービスとしても発表している。企業によっては、内線電話、FAX、メールの代わりにこのような統合ソリューションに置き換えるという選択が今後増えてくるかもしれない。