日立情報通信エンジニアリングのブースでは、高速光伝送技術の応用例として光通信量子暗号(Y-00)伝送装置のデモが行われている。同社は昨年4月、玉川大学の広田教授と共同で、この装置をソフトバンクテレコムの所有する商用光ファイバ伝送路および商用光増幅器と接続し、約200kmの光暗号伝送実験に成功している。 量子暗号方式Y-00は、通信に用いるレーザー光が持っている量子ゆらぎを利用する暗号方式で、大容量データを高速に直接暗号化して長距離通信を可能としている。また、既存の光通信方式(光強度変調方式)との親和性が高く、現在商用ネットワークで使用されている障害時の切替制御方式(SDH冗長機能等)が応用できるなど、通信事業者の商用バックボーンネットワークへの適応性が非常に高いという。 ブースでは、40kmの光ファイバで接続された同装置によるビデオ映像伝送のデモンストレーションが展示されていた。ソース映像と、伝送先の映像が並べて表示されており、両者に遅延や画質の劣化は認められなかった。 応用分野として、官公庁ネットワークや金融系ネットワーク、放送・医療分野等、リアルタイム性と高度なセキュリティを要するネットワーク全般を想定しているという。 なお、量子暗号化伝送の実験デモの様子は、関連リンクの動画バージョンも参照してほしい。