SKE48を卒業後、女優業を中心にバラエティやラジオパーソナリティーとしてマルチに活躍する高柳に、舞台の見どころや最近推していること、30代を迎えた今の恋愛事情などを聞いた。
――中島庸介さん主宰の演劇ユニット「キ上の空論」が旗揚げから10周年を迎えた記念公演での主演となります。主演として意識していることはありますか?
全然ないんです(笑)。今回、主演という肩書きをいただいていますが、登場人物それぞれが主人公のようなお話になっていると思いますし、自分では主演とは全く思ってないので、気負ったりプレッシャーを感じることなく稽古に臨んでいます。W主演の町田さんは私と同じく人見知りなので、同じ空気を感じて話しやすいですし、稽古もスムーズに進んでいます。
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――本作は具体的には、どんな物語なのでしょうか。
過去に起こった宗教に関する事件や、数年前のコロナウイルスの感染拡大など、一部実話をもとに構成されたストーリーになっています。私が演じるタイラの唾液には“人を眠らせる成分”があるのですが、その秘密を知った太田を軸に表の物語は進んでいき、裏ではタイラを軸に物語が進んでいきます。
――高柳さん自身が、この作品の面白いなと思うポイントを教えてください。
“人間劇”だなと思います。コロナが拡大した初期の頃も、何が正解で間違っているか分からない誤った情報がたくさん飛び交いましたよね。この薬を飲むと感染しないとか、これを使ってうがいをすると検査に引っかからないとか、真偽の分からない噂がたくさん出回ったように、人間は本当か分からないようなものにすがりたくなったり、それに惑わされて人と人がぶつかり合ったり、本当か嘘かも分からないものを信じている人と、嘘だと言っている人に分かれて戦ったりする面があるのかなと思っていて…。この舞台では、そういう人間性とか日本人の国民性のようなものが描かれていると思います。
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――今回の作品で、高柳さんが新たにチャレンジしていることはありますか。
チャレンジではないのですが、楽しみにしていることがあって…。私はホストクラブに行ったことがないのですが、今回ホストクラブに行くシーンがあるんです。その時に、ホスト役の皆さんが本物のホストのように、すごく盛り上げてくれて楽しいので、作品の中ではありますが、“ホストクラブ初体験”を楽しんでいます。
――ホストクラブ初体験(笑)! 楽しそうですね。
はい、まるでお姫様のように、皆さんが「イエイ!イエイ!」とホストクラブのコールで盛り上げてくれるので、そのシーンは私自身もすごく楽しんでいます(笑)。
――タイラは「秘密」を抱えている女性ですが、高柳さん自身は、性格的に秘密を守れるタイプですか? 人にバレやすかったり、言いたくなってしまう質ですか。
私はあまり言わないです。やはりアイドルをやっていたので、アイドルが夢を壊すようなことは言いたくないなとか、リアル過ぎることはあまり言いたくないなというのはあるかもしれません。そもそも、秘密もそんなにないのですが(笑)。 もともと自分の素直な気持ちを、全部人に言えるタイプではないかなと思います。
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――作品の話からは離れますが、プライベートでは異常な鳥好きであり、ラーメンやカメラ好きでもあり、多趣味な高柳さんですが、最近新たにハマっているものはありますか。
最近は『アイドリッシュセブン』というアニメに、お母ちゃんと一緒に親子でハマっています。私のお母ちゃんは、私が生まれる前からアニメや2次元が好きなオタクなのですが、先日、映画館でやっている『アイドリッシュセブン』のコンサートに一緒に行った時に、お母ちゃんが初めてリアルにキャーキャー言いながらテンションが上がっている姿を見て、すごく面白くて…(笑)。お母ちゃんから「今日は誰々くんの誕生日だから、このタスクは絶対にやってね!」と連絡が来たりするので、今は親孝行も含めて一緒に“推し活”を楽しんでいます。
――(笑)。以前の取材では、アイドル時代の20代の頃は恋愛を捨ててきたので、30代は頑張りたいというお話もされていましたね。
恋愛面は本当にこじらせていますね。やっぱり20代に何も恋愛しないのはよくないと思います。私と同じ30代の周りの人はみんな結婚していますが、私は何が好きなのかとか、何が良いのかとか、恋愛がわからなくなってしまっていて…。この年代になってくると、学生時代とは違って「好き」だけではダメだと思うので難しいなと思いますね。お家に可愛い鳥がいれば恋愛は……と思う時もあります(笑)。
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――それでは、最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
私はコロナ禍にSKE48を卒業したので、ファンのみんなは私の名前を呼べなかったことに、すごく悔いが残ってるみたいなんです。なので、もう1回ソロライブをして「明音ちゃん」と呼んでもらえる機会を作って、みんなの悔いを浄化させられたらいいなと思ってます!
■作品情報
舞台 キ上の空論 10周年記念公演『幾度の群青に溺れ』
2023年7月5日(水)~9日(日) 紀伊國屋ホールで上演。