■盛り上がる働き方改革と現場のギャップ
発表会には、同社 執行役員 常務のマリアナ カストロ氏が登壇し、まず、日本を含むアジア企業の働く環境に関する調査結果を引用しながら、日本企業の働き方の状況などを説明した。それによれば、1週間のうち1日以上を“オフィス外”で働く人の割合はアジア全体で71%、日本に絞ると41%。個人のスマートフォンを業務に利用している人についてはアジアで75%、日本では35%となっている。「今の環境で非常に高い生産性を発揮できているか?」という質問にたいして“Yes”と答えたビジネスパーソンはアジアでは49%に対して日本は9%。「いつでもどこでも柔軟に働けるか?」と聞いた場合にアジアでは46%のビジネスパーソンが“Yes”と答えたが、日本ではわずか6%にとどまった。
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
「働き方改革」というと、場所や時間の制約を受けない業務形態である「テレワーク」の導入がまずイメージされる。アジア圏でも組織のモバイル化が進んできているが、日本の現状は他のアジア諸国に比べて遅れており、結果、満足いく生産性を実現できていない。より一層ビジネスパーソンへの支援を強化する必要があるとのことだった。
日本マイクロソフト 業務執行役員の三上智子氏は、日本における働き方改革の盛り上がりと、ビジネスの現場とのギャップを指摘。日本の経営者層の約8割が、働き方改革を重要な経営課題として認識している一方で、先に述べたようにテレワークの導入が遅れていたり、生産性の向上に結びついていない現状がある。特に中小中堅企業に関しては、ITリソースの不足が深刻で、テレワーク環境を整えたくてもセキュリティ対策などがネックとなり、クラウドサービスやグループウェアをほとんどの企業では使いこなせていないという。

オフィスで働くいわゆるインフォメーションワーカーには施作が行き届いたとしても、たとえば小売業であれば店舗、建設業であれば工事現場など、現場の最前線のワーカーには働き方改革の取り組みが浸透しないことも大きな問題となっている。
■300名以下の中堅中小に特化した「Microsoft 365 Business」
同社は、日本を活性化するには、約380万社存在する中堅中小企業の働き方改革の実現が欠かせないとし、今回、「Microsoft 365 Business」の提供を開始する。

Microsoft 365 Businessは、これまでマイクロソフトが提供してきたOffice 365、Windows 10、EMSといった製品において、中堅中小企業の働き方改革実現に特に必要な機能セットをカスタマイズして提供するもの。セキュリティの心配やIT管理にわずらわされることなく、“社員がもっと活躍できる働き方”を実現できる統合ソリューションになっているという。含まれるサービスは、「常に最新バージョンのOffice製品」「メールと予定表」「1TBのファイルストレージ」「Windows 10へのアップグレード」「ビジネスデータの保護」「サイバー攻撃に対応したセキュリティ」「デバイスの管理ツール」「24時間365日のオンラインおよび電話サポート」など。
参考価格は1ユーザーあたり月額2,180円で、最大300ユーザーまで利用可能。
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テレワークの実現は前提としつつ、オフィスで働く人がゼロになるわけではない。いずれの場所でも快適に、といのが基本的な思想だ。また、結果として残業時間の削減などにもつながってくるが、あくまでも目指すところは社員ひとりひとりの“活躍”。そのために、同サービスを通じて「チームワークの強化」「いつでもどこでも生産性の高い業務を遂行」「最新の脅威にも対応したインテリジェントなセキュリティ」「シンプルなIT管理」を提供したい考えだ。
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サービスに含まれている「Microsoft Teams」を使うことで、チャットをベースとしたメンバー同士のスムーズなコミュニケーション、ファイル共有、タスク管理がすべて完結し、チームワークの強化につながる。介護や育児に従事していて早朝や夕方の会議に自宅から参加したい、そうした場合は「Skype for Business」を利用する。いつでもどこからでも会議に参加でき、画面や資料を共有して会議をしながらその場で作業を進めることも可能。個々人の生産性という部分では、最新のOfficeはAI(人工知能)テクノロジーを活用して日々の作業をよりクリエイティブに行うことが可能になっている。たとえば、Power Pointを使った資料の作成時に、テキストのみのスライドに対してAIが自動で見栄えのいいデザインレイアウトを示唆してくれ、資料の中身に集中するといったことが出来る。セキュリティや管理の面では、利用ユーザーの情報、ユーザーが利用するデバイスの情報、会社固有のセキュリティポリシーなどの全てを一つの管理コンソールで確認・操作することが可能となっており、煩雑なIT管理は一切不要とのこと。
なお、店舗スタッフや現場の作業スタッフなど、顧客と直接接点を持つ最前線のワーカーを対象とした、「Microsoft 365 F1(Firstline worker)」の提供も開始される。「Microsoft 365 Business」や「Microsoft 365 Enterprise」のオプション的位置付けで、普段デスクには座ることがない人たちが使えるように特化し、1人あたり月額1,060円で提供する。
■「Surface Pro LTE Advanced」
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日本マイクロソフトとしては、「Microsoft 365 Business」のようなサービスを最大限利用するには、やはり同社の最新デバイスが最適であるとしている。今回の発表会では、「Microsoft Surface Pro」にLTE-Advanced対応のSIMフリー2機種が追加されることも発表。ぜひ、最新のSurface Proと、365サービスを組み合わせてその利便性を体感してほしいとアピールしていた。「Surface Pro LTE Advanced」はメモリ4GB、ストレージ128GBのモデルが税抜12万9,800円。メモリ8GB、ストレージ256GBモデルが税抜14万9,800円。
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※Googleがテレワーク環境を無料解放