Netflixは6日、HDR(ハイダイナミックレンジ)による映像配信について記者説明会を開催。HDR、4Kといった最新映像技術への対応状況を説明したほか、タレントの又吉直樹さんの芥川賞作品を映像化したNetflixオリジナルドラマ「火花」のHDR化にまつわるエピソードなどを紹介した。■Netflixが映像品質の技術向上に貢献 説明会の冒頭、Netflix 代表取締役社長のグレッグ・ピーターズ氏が登壇して挨拶した。映像作品の視聴スタイルが、従来の「テレビ」から「インターネットによる映像配信」へと切り替わりつつあるこの時代。映像の品質向上に関する技術も、革新の速度を増しているという。グレッグ社長は、その一翼をNetflixが担っていると胸を張る。 例えば日本国内のテレビ業界では、まだ4K放送を本格的にスタートできていない。しかしインターネットによる映像配信を手がけるNetflixでは、いま販売されているディスプレイに最適な映像コンテンツをタイムリーに配信できる。テレビ業界が何年もかかっている4Kによる高画質な映像コンテンツの配信についても、今後続々と提供を開始する予定だ。 同社では優良コンテンツを配信するだけでなく、ここ数年はオリジナルコンテンツの制作にも力を入れてきた。今後、この傾向をさらに強め、2017年には140タイトルを提供する考えだ。また、実写による映像作品だけでなく、アニメについてもHDR化を進めていく方針だという。■HDR化には懸念も この後、オリジナルドラマ「火花」のHDR化を担当した、ザフール プロデューサーの佐藤正晃氏と、IMAGICA 映画・CM制作事業部の石田記理氏が登壇。ドラマ「火花」はもともと、SDR(通常ダイナミックレンジ)による配信を見込んで撮影がスタート。撮影の後半でHDRへの対応が決まった。これをHDR化するにあたり、佐藤氏、石田氏は懸念を抱かざるを得なかったという。 両氏が恐れていたのは、HDR化により作品の印象が変わってしまうこと。例えば、祭りのシーンでは手前に提灯があり、奥に主役の2人がいる。ここで監督が見せたかったのは人物の様子だが、HDR化することで手前の提灯の赤色が強調されてしまう。視聴者が提灯に目を奪われてしまうと、監督の思惑と外れてしまうというわけだ。そこで、このシーンのHDR化にあたっては赤を抑えた色調になるよう配慮した。このような地道な配慮を全編にわたって続けたという。 オリジナルドラマ「火花」を撮影した廣木隆一総監督、および撮影監督にHDRの処理を施した「火花」のトレイラー(予告編)を視聴してもらったところ、好意的な反応だったという。2人は安堵した表情で秘話を明かしていた。・NetflixでHDR配信を予定している作品「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語(原題)」「ブラッドライン」「シェフのテーブル」「シェフのテーブル:フランス編」(対応済み)「火花」(対応済み)「シドニアの騎士」「Marvel デアデビル」(対応済み)「Marvel アイアン・フィスト(原題)」「Marvel ジェシカ・ジョーンズ」「Marvel ルーク・ケージ」「Marvel ザ・ディフェンダーズ(原題)」「ドゥ・オーバー:もしも生まれ変わったら」(対応済み)「リディキュラス・シックス」(対応済み)