●最高気温はどこで計られたもの? そしてもう1つ、押さえておきたいのが最高気温に関して。再び伊藤アナが解説する。「そもそも天気予報で伝えられる最高気温というのは、全国900か所以上に設置されているアメダスの温度計で測定された温度なんです。東京の場合は、少し前まで大手町にある気象庁の敷地内にアメダスが設置されていたんですが、現在は、周りに木々がある北の丸公園内に移設されたので、最高気温は以前より低めに出るようになりました。アメダスの設置場所は、一定の規定があり、発表される気温は芝生や人工芝・防草シートの上から1.5mの高さの通風筒内の温度計で測定された気温です。黒いアスファルトの地面付近の気温なら、天気予報で発表された気温より10度以上違うこともあります」」 この伊藤アナの説明を聞くと、天気予報で伝えられる最高気温は参考にしつつも、自分の行動エリアの周辺環境まで考慮しておくことで、熱中症のリスクなども抑えられるかもしれない。また、自分の家などにも気温計を設置して、天気予報で伝えられる最寄りのアメダスの最高気温と自宅の最高気温の差異などを把握しておけば、もっと有効に天気予報を活用することができるだろう。●「激しい雨」と「猛烈な雨」はどっちが深刻!? 最後は、天気予報で雨の強さや振り方を示す際に使われる「激しい雨」や「猛烈な雨」といった予報用語に関して。この内容に関しては、著書『いざというときに身を守る 気象災害への知恵』の中でも表にまとめられているが、鈴木アナに改めて伺ってみた。「雨の強さと降り方を表現する予報用語は、1時間の雨量によって5段階に分けられていて、やや強い、強い雨、激しい雨、非常に激しい雨、猛烈な雨という形で使い分けられています。感覚的な表現のように聞こえますが、“やや強い雨”なら、1時間に10mm以上20mm未満の雨量、“強い雨”なら20mm以上30mm未満の雨量といった形で、表現に当てはまる雨量が決まっているんです。ただ、これも分かりにくい場合もあるかなぁと思うので、“非常に激しい雨”と伝える場合には、補足情報として、“滝のような雨です”など、よりイメージしやすい表現は心がけています」 鈴木アナが語るように、並べて聞けば違いは分かるが、天気予報で“激しい雨”と“猛烈な雨”という表現が立て続けに出てきた場合、どっちの降り方が深刻なのかは、にわかに判断が難しい。また、雨と同様に風に関しても、予報用語では平均風速に応じて表現が決まっていて、その点に関しても著書の中で表にまとめられている。【雨の強さと降り方】やや強い雨/1時間に10mm以上20mm未満の雨量強い雨/1時間に20mm以上30mm未満の雨量激しい雨/1時間に30mm以上50mm未満の雨量非常に激しい雨/1時間に50mm以上80mm未満の雨量猛烈な雨/1時間に80mm以上の雨量 ちなみに毎日天気予報を伝えるお二人によれば、ひと昔前よりも“非常に激しい雨”と伝えることは、確実に増えているという。この状態だと、傘はまったく役に立たず、クルマの運転には危険が伴う。さらにはマンホールから水が噴き出したり、地下街や地下道が浸水するといったことも起きうるレベルだそうだ。 また、“非常に激しい雨”や“猛烈な雨”と関連して、「記録的短時間大雨情報」という単語が天気予報から聞こえてきたら要注意だという。これは、数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨(1時間に100mm前後の雨)を、観測や解析した時に、各地の気象台が発表するもので、“情報”というと、“注意報”や“警報”と比べると緊急性を感じにくいが、“災害発生につながりかねない雨量”であることを意味しているので、十分な注意をして欲しいと二人は口を揃えていう。 このように何気なく使われている予報用語も、意味を知るとより深く天気予報を理解できるようになる。次回は、天気予報から一歩進んで、“気象災害”に対する知恵をお二人に解説してもらおう。