旧来のアナログテレビ放送の帯域を利用した新放送サービスとして、3月より東京、大阪、福岡で無料放送が開始されているV-Lowマルチメディア放送「i-dio」をご存じだろうか。 音楽や音声&映像コンテンツを楽しめるメディアだが、立ち上げ時は3都市のみでしか視聴することができず、スマートフォン用のWi-Fi外部チューナー、もしくはチューナーを内蔵したAndroidスマートフォン(i-dio Phone)が必要となるため、「まだ知らない」という方がいてもおかしくないだろう。 そんなV-Lowマルチメディア放送だが、もともとの構想としては、日常的な視聴もさることながら、緊急防災無線の受信端末としての利用が掲げられている。 そうした防災用途でのV-Lowマルチメディア放送の活用事例といえる展示が、「自治体総合フェア2016」において行われていたので紹介していこう。 出展していたのは、V-Lowマルチメディア放送「i-dio」のハードウェアを担当するVIPという会社で、FM放送とV-Lowマルチメディア放送の両方に対応したハイブリッド防災ラジオや、i-dioを活用した自治体向け災害情報伝達システム「V-ALERT」に関する展示を行ってっていた。 「MS-VL1」は、FM/AM放送とV-Lowマルチメディア放送の両方の受信に対応したモデルとなっており「V-ALERT」経由で緊急信号を受信すると、自動で本体が起動し、災害情報が流れる。 さらに本体には、液晶パネルを備えているので、i-dioの特性を活かして音声だけでなく画像やテキストと合わせて、緊急地震速報などを視覚的に受け取ることが可能だ。 「MS-VL1」は、すでに自治体向け災害情報ソリューション「V-ALERT」の受信端末として、福岡県宗像市で稼働しているという。 ちなみに「MS-VL1」はあくまでも自治体向けの製品となるので、一般発売はされていないが、価格は1台約15,000円とのこと。 静かなスタートを切ったV-Lowマルチメディア放送だが、防災面では大きな期待が集まっているだけに、今後、自治体での導入増加などがに合わせて、より注目されていくことが予想される。