Windows PCで作業しているように感じるほど、操作のレスポンスはスムーズだ。外出先はスマホで、自宅にHDMI搭載のディスプレイを用意すればPC感覚で色んな作業がこなせる。Continuum機能によりスマホを使用している間でも電話はつながるし、スマホとContinuumの画面で別々のタスクを行うことも可能だ。 ただし、Continuumはマルチタスクには対応しているが、マルチウィンドには非対応なので、さまざまなアプリによる作業も常にシングルウィンドウでの作業になってしまう。ここはさすがにPCのようにはいかないところだ。画面下のタスクバーからバックグラウンドで待機するアプリを切り替えながら作業するかたちになる。 ビジネスドキュメントの作成や編集、メールやWebのチェックには十分使える機能だが、クリエイティブ系アプリがガンガン使えるようになるまでにはまだ進化の余地が残されているようだ。 筆者の場合、仕事で撮影した写真をAdobe Photoshopで本格的に加工・編集する作業も多いので、Windowsストアで提供されている「Adobe Photoshop Express」がContinuum上で使えるのか、期待しながらチェックしたところ、残念ながらContinuum側でアプリを立ち上げることができなかった。DropboxについてもまでContinuumは非対応とのこと。 ふだんのPCでの作業環境がまるごとスマホに移行できるというわけにはまだいかなそうだ。これはVAIO Phone Bizの課題ではなく、今後のContinuum機能の進化に期待すべきところだ。■ソニーからVAIOへ、そのDNAは受け継がれているのか VAIO Phone BizにはWindows 10 Mobileに搭載されている音声認識アシスタント「Cortana」が使えたり、Skypeのプリインなど便利なアプリも充実している。一方で「ビジネス向け」を特徴としてうたうスマホであることは分かっているのだが、ソニーのDNAを継承するエッジの効いたエンターテインメント系機能の搭載にもチャレンジしてほしかった。 例えば本体リアには約1,300万画素のメインカメラを搭載しているが、こちらはXperia Zシリーズが内蔵するカメラのように、特にデバイスやソフトウェアを活かしたハイグレードな撮影機能を統合したものではない。実際に撮れる写真の画質は一般的なクオリティであり、「Xperia Z5 Premium」と比べてしまうと、やはり暗所で撮った写真の出来映えはXperiaに軍配が上がる。動画撮影もフルHDまでとなり、写真・動画撮影のマニュアル設定項目についても標準的なメニューだ。 確かにビジネスシーンでメモ代わりに撮る写真にそれほど上質な仕上がりを求める必要はないのかもしれないが、同機は一般のSIMフリースマホを求めるコンシューマーにも販売するモデルなのだから、競合するカメラ機能にこだわったHuaweiやASUSなどの端末に及ばずとも、どこかにピリッとスパイスの効いたVAIOならではのこだわりを盛り込んでほしかった。 またビジネスシーンを中心としたハードワークを前提とするならば、防水・防塵に非対応な点、NFC/FeliCa機能は非搭載な点についても若干の疑問が残る。メタルボディの上質な質感にこだわったこととのトレードオフになる部分なのかもしれないが、それならばぜひ本体をしっかりと保護できる専用ケースなど純正のプロテクションアイテムも発表後に充実していくことを期待したい。 何はともあれ、待望の「VAIOによる、VAIOのスマホ」として、今回発売される「VAIO Phone Biz」には開発者のこだわりが実感できる部分も多々あり、筆者としてはとても魅力を感じる端末だった。これで販売価格が5万円台ということであれば、トータルで考えた時のコストパフォーマンスは十分に高いと言えるのではないだろうか。 エグゼクティブのビジネスツールとして、上品なデザインとマテリアルによるモノとしての完成度の高さも魅力的だ。できれば今後反響を見ながら、他のカラーバリエーションへの展開にもチャレンジしてほしい。Windowsスマホの普及に弾みを付けそうな、今後注目すべき端末になるのではないだろうか。協力:VAIO
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