(2)マイナンバーの記載時期 2016年1月以降に支払った配当については、支払調書にマイナンバーを記載する必要があります。ただし、既存の株主については、マイナンバー記載の猶予規定が設けられています。 具体的には、2015年12月31日時点で株主であったもののうち、氏名及び住所を告知している場合は、支払調書へのマイナンバーの記載について3年間の猶予期間が設けられています。 なお、2016年1月以降に株主となったものについては、株主となった時に氏名・住所およびマイナンバーを告知する義務がありますので、3年間の猶予はありませんので、ご注意ください。■マイナンバーを入手できない時、どうするか? マイナンバーの取得は、個人株主についても、会社が本人確認を行い入手します。一方、マイナンバーの提出義務があるにもかかわらず、個人株主と日常的な面識がないような場合、株主がマイナンバーを提出してこないことも想定されます。 例えば、当初は、社員や取引先などが株主となっていても、その後、相続などにより会社と関係のない方が株主となる場合もあります。このような場合、マイナンバーの取得どころか、株主と連絡を取ること自体難しくなることも予想されます。 マイナンバーを入手できない場合、支払調書に記載することができませんが、会社は、マイナンバーを取得するために努力したことを記録に残し、単なる義務違反ではないことを明らかにしておくことが必要です。■特殊な配当である、みなし配当の場合はどうするか? 通常の金銭の配当とは別に、「みなし配当」という特殊な配当があります。みなし配当とは、例えば、自己株式を買い取った場合、実質的には、株式を買い取ることで利益配当を行っているのと同様の効果があるため、税務上、みなし配当として源泉徴収をします。 みなし配当には、自己株式の買取以外にも、減資や合併など特別なケースが該当します。また、みなし配当についても、通常の配当と同様に支払調書を税務署へ提出し、個人株主についてはマイナンバーを記載することが必要ですが、みなし配当については、マイナンバーの記載を3年間猶予することとされています。●筆者プロフィール森 滋昭(もり・しげあき):公認会計士・税理士(東京都)。会社設立や創業融資のサポートを中心に、成長した企業の管理会計の構築支援なども行う。昨年、東京マラソンに出場したので、今年は水泳にチャレンジ中。