大木工藝(大津市、077・549・1309)は、キャパシター、建材、装身具など、さまざまな製品を展開する。それぞれ脈絡がないようだが、共通するのが炭素技術だ。今力を注ぐのがヘルスケア分野で、2016年には多くの製品投入を予定している。大木武彦社長に聞いた。 ―製品展開はどのような計画ですか。 「16年早々には炭素温熱歯肉マッサージャーを自社ブランドの『ほっこりシリーズ』で市場投入する。体調管理に役立つ『ウェアラブルヘルスケアシリーズ』はネックレス、ウオッチ、グラスを予定している」 ―炭素技術が製品のカギを握るようです。 「360度熱が拡散する等方性高密度炭素で、これは遠赤外線吸収や放射率が高い。マッサージャーのヘッドに採用、瞬時に人肌に温めてヒーターを切り、バイブレーターによる振動で歯肉をマッサージする。健康機器として米中でも販売する計画。将来は歯周病予防の医療機器を目指しており、京都府立医科大学と歯肉細胞の影響について共同研究を続けている」 ―「ウェアラブルヘルスケアシリーズ」はどう展開しますか。 「次世代装身具と位置づけている。体調管理では胸から上の情報が大事といわれるが、炭素による血流促進効果のほか、心音センサーや血流センサーなどを組み込むことで情報を収集、疾病予知や予防につなげようというものだ。滋賀医科大学、京都工芸繊維大学と研究を重ねている」 ―炭素に目をつけた理由は何ですか。 「樹脂廃棄物の無害化処理で生じる炭化物利用がきっかけ。熱伝導が高く環境にも良い。繊維やコスメなど多くの商品を手がけてきたが、可能性はまだまだ無限だ」(平野健)