サイトセンシングは10日、幕張メッセで開催中の「Interop Tokyo 2015」で歩行者自立航法(PDR)ライブラリに関する展示を行った。 同社が開発しているPDRとは、基準点からの相対的な移動量を計測する技術のこと。加速度、ジャイロ、軸という、スマホで一般的に利用されているセンサーからの情報を解析。これにより、姿勢や方位、速度、進行方向などが計測できるようになる。 会場ではスマホを持って移動すると、その経路をLTE通信によって送信。離れた場所のディスプレイに地図表示するデモが行われていた。センサーからの出力を独自のプログラムで分析することで、例えば電話中に端末を耳に当てているような状況でも、正確な進路が把握できるという。 サイトセンシングで取締役を務める興梠正克氏は、PDRではセンシングの精度だけでなく、その電力消費量が重要なポイントになると解説してくれた。 「同社のPDRはスマホからスタートしましたが、工場など端末を持ち込めない環境向けに、専用端末の開発も行いました。ただ、従業員の位置を終日把握しようとすると、バッテリーサイズの問題から、ボックスサイズの端末が必要だったんです」 そこで、同社では計算方式を最適化することで、消費電力を従来の1/24まで削減。端末を社員証サイズまで小型化した。これは、スマホでPDRを利用する上でも、大きなメリットになるという。 「PDRの利用でスマホのバッテリーを消耗するのを避けるために、省電力化はどうしても必要な過程でした。また、最近ではiPhoneのモーションプロセッサーのように、処理を分散させる傾向がありますが、地図でナビをするときにはアプリケーションプロセッサーを利用。常時計測などの定型処理はサブプロセッサーに任せるというのが、今後の方向性として可能性が高いのではないかと考えています」 PDRのメリットはGPSと違い、屋内でも位置情報がわかること。ただ、GPSに取って代わる技術としてではなく、その計測を補完するような使い方になるのではないかと興梠氏は話している。ビーコンなどとも連携できるということなので、位置情報の精度を上げるための基礎技術として、その発展に期待したいところだ。