「若者のビール離れ」などで右肩下がりのグラフばかりが目立つビール飲料業界に、「まさかのヒット」といわれ好調を維持したのがサッポロビール「ホワイトベルグ」だ。市場が縮小するなか、“香るおしゃれなビール”のトレンドをけん引したのは20代や30代のビール離れ層だった。 ホワイトベルグは、ベルギーのホワイトビールのような味と香りを楽しめる新ジャンルとして、サッポロが2014年5月にリリースした商品。これまでの缶ビールとは一線を画す「ブルーグリーン」にゴールドの紋様が入る外観も印象的だが、その開発とヒットの過程も独創的なものだ。 登場時、「クラフトビールのようなテイストがこんなに安く手に入る」「売り切れ、1本もない」といったユーザーの声も複数あったホワイトベルグ。5月発売から年内に100万ケースを突破し、その購入者の6割が40歳代以下という同商品のキャラクターとパワーとは? サッポロビール新価値開発部の後藤正明氏と同ブランド戦略部の傳田法子氏に聞いてみた。 「このホワイトベルグはネットを通じて若者を中心に拡散した。当社商品でここまでネットで話題になった商品は他にない」と話す同社新価値開発部の後藤氏は、若者に“バカウケ”したホワイトベルグの着想とターゲットのイメージについてこう語る。 「ビールを飲まない若者は、ビールに背を向けているのではなく、接点がなかっただけ。“ビール知らず”が多いのかなと。20代や30代の飲み方の特徴は、ライトユーザーであること。ゴクゴク飲んで『プハーッ』とやる世代とは違い、パソコンやタブレットでネットを見ながら、テレビを見ながら、本を読みながらと、“ながら”“まったり”“ゆっくり”というシーンを愛する傾向にある」(後藤氏)