情報通信研究機構(NICT)は28日、桜島昭和火口の爆発的噴火について、桜島周辺の緊急観測を8月20日に実施し、観測画像を火山噴火予知連絡会などの関係機関に、気象庁を通じて提供したことを発表した。 NICTでは、噴煙や雲の影響を受けることなく地表面を観測できる、「高分解能航空機搭載映像レーダ(略称:Pi-SAR2)」を開発。Xバンドの電波を利用することにより噴煙の有無、天候、昼夜等に関係なく地表面を映像化できるのが特長だ。さらにNICTではPi-SAR2について、観測データの高速機上処理技術の開発を進めていた。 今回の観測では、GPUを利用した高速機上画像化処理装置を利用。今回の爆発的噴火後(8月20日)の噴煙が立ち上る昭和火口とその周辺の地表面を上空約9,000 mから観測した観測データを機上で偏波疑似カラー画像化処理を行い、商用通信衛星(インマルサット衛星)経由で地上に伝送することで、これまで観測後1日程度要していた偏波疑似カラー画像の提供時間を10分程度までの大幅な短縮を実証した。 なお、今回の地上に伝送された画像データの解析からは、火口及び火砕流が発生したとされる領域において、本年1月観測時からの顕著な変化は認められなかったという。 今後は、機上処理装置の更なる高速化及び高機能化(配信用情報を付加したHTML出力機能付加等)、より大容量の通信回線の整備等を積極的に検討していくとのこと。