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【インタビュー】ARはどこまで浸透する?印刷業界の動き

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校正刷でARを試す。ページ画像を認識し、対応する動画コンテンツを再生
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  • 暁印刷 営業本部 営業推進グループ 蟻田晴彦氏
  • 暁印刷 営業支援チーム 宮崎良雄氏
  • インタビューを受けてくれた二人
  • 表紙や編集ページにCOCOARを採用した雑誌「ハンナ 創刊号」
  • COCOARを採用したページ
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 最終的に同社が採用したARは、スターティアラボが提供するCOCOAR(ココアル)というシステムだった。ココアルでは、ARマーカーとして任意の画像(写真、印刷物など)を登録でき、その画像をスマートフォンなどで読み取ることで、リンクしたコンテンツを再生したり、サイトを起動したりすることができる。マーカーとリンクさせるコンテンツも任意のURL、動画ファイル、音声ファイル、その他画像データ、テキストファイルなどを自由に設定できる。また、一度設定したコンテンツをクラウド上の管理画面からいつでも差し替え可能なことも大きな特徴。

 マーカーの登録やコンテンツのオーサリング、設定は、SaaSで提供される管理画面で行う。ココアルのユーザーならば、自由にいくつでもARコンテンツを作成・登録することが可能だ(契約したストレージ容量以内)。料金も初期費用と月額固定の利用料のみなので、ARコンテンツごと、マーカーごとに高い製作費や登録料などを発生させることもない。つまり、「自分でコンテンツを作れない」「コストが見合わない」という問題を解決できるシステムといえる。ココアルのマーカーを読み取るスマートフォン側のアプリ(画像リーダー)は、App Store、Google Playから無料でダウンロードできる。

 ココアルのメリットはコストだけではない。ココアルを使って実際にAR対応のカタログやパンフレットを制作している営業支援チーム 宮崎良雄氏は「SaaS型なのでインストールや操作が楽なのもそうですが、簡単にサンプルが作れるので、パンフレットの提案などでも、基本的な画像や情報だけいただければ、実際に動作するサンプルのARチラシを提示することができます。また、QRコードなどと違い、任意の画像が利用できますし、連動させるコンテンツの更新や入れ替えも簡単なので、日替わり、週替わりで表示させる内容を変化させたり、マーカーの再利用など、自由度が高いのも便利です」と評価している。

 同社では、さらに出版への応用も考えている。たとえば、自己啓発系の本であれば、投げ込みチラシをマーカーとし、セミナーの招待券や登録ページのURLにリンクさせたりすることが可能だ。書籍は長期にわたって販売されるが、クラウド上でコンテンツ入替えが可能なため、読者はいつ購入したものでも最新のセミナー情報を見ることができる。また、新創刊の雑誌にAR機能をフィーチャーした事例も紹介してくれた。音楽関係の雑誌だが、編集ページをココアルのARマーカーとして、読み取るページによってアーティストの演奏ビデオや音楽再生、写真、関連のホームページにリンクされるようになっている。読者は、その場で演奏を聴きながら記事を読むことができる。

 印刷物から音声や動画を再生させるという仕組みは、技術的にはかなり以前から可能だった。しかし、それを実現するには特定のデバイスや専用ソフトウェアの開発が必要だったり、さらには制作コストの問題があり、あまり普及していなかった。カタログ通販の大手などが、独自のARシステムを開発し実施している例はあるが、多くの企業は限定的にQRコードを利用するか、大規模なキャンペーンで大掛かりなARを開発するかしか選択肢はなかった。ココアルのようなサービスを利用することで、中小の小売店や出版社、印刷会社でも、効果的なWeb連動のARが実現可能になってきたといえる。スターティアラボは8日から開催のWeb&モバイル マーケティング EXPOに出展する。
《中尾真二》
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