日本電気(NEC)は17日、高速無線通信を利用するワイヤレス機器において、機器内部のプリント基板に独自の人工材料を形成することで、アンテナの受信感度を最大で約10倍に向上させる電磁ノイズ抑制技術を発表した。 金属を周期的に並べることで自然界にない性質を引き出す人工材料「メタマテリアル」の一種「電磁バンドギャップ(EBG:Electromagnetic Bandgap)構造」を活用した。ユニットセルに金属線をスパイラル状に加工したオープンスタブ共振器を組み込んだ、独自のマイクロEBG構造を開発。これにより、WiFiで用いられる2.4GHz帯の電磁ノイズを遮断する場合、従来のLC共振器を組み込んだEBG構造のユニットセルと比較して約1/10となる、2.1×2.1mmの世界最小サイズを実現した。 EBG構造には、特定の周波数の電磁波を遮断する性質があり、従来はプリント基板に内蔵することが困難だったEBG構造を、基板内に適用することを可能にしたことで、ノイズを抑制する。本技術によりワイヤレス機器の通信性能が向上し、最大で約2倍の高速通信が可能となる。複数のオープンスタブ共振器をユニットセルに組み込むことにより、マルチバンドの動作も可能で、たとえばWiFiの2.4/5GHz帯の電磁ノイズを同時に遮断できる。 NECとNECアクセステクニカは、本技術を活用した製品を2013年に発売予定とのこと。