検索技術により、企業内外に散在するデータを仮想的に統合する「情報アクセス基盤」と、その上でデータを分析・活用するアプリケーション(Search Based Application:SBA)が注目を集めはじめている。SBAは意思決定や、マーケティング、リコールの予兆の検知等、複雑な要求に応えるアプリケーションである。
IT 環境の進化によって、企業内に蓄積されるデータ量は爆発的に増大し続けている。それらの膨大なデータは、各種業務システムやグループウェア、ファイルサーバー等、企業内の各部門単位で存在しており、その中から必要な情報を即座に探し出すことは非常に困難である。一方で、急速に拡大しているソーシャルメディアや口コミ情報等のデータの中から有益な情報を抽出し、より良い意思決定に利用したいというニーズが高まっている。そのような課題とニーズに対し、検索技術により、企業内外の構造化・非構造化データを仮想的に統合することで情報アクセス基盤を構築し、その上にデータを分析・活用するアプリケーション(Search Based Application:SBA)を構築することが、解決策の一つとなる。
2.2 情報アクセス基盤によるデータの仮想統合 検索技術は情報を見つけ出す手段であるとともに、企業内外に散在する構造化データおよび非構造化データを、仮想的に統合し処理する基盤技術として利用されている。このような技術を基に、意思決定や、マーケティング、リコールの予兆の検知等、複雑な要求に応えるアプリケーションを、Search Based Application(以下、SBAと記述する)と呼び、それを可能とする基盤を「情報アクセス基盤」と呼ぶ。
■参考文献 [1]Gregory Grefenstette and Laura Wilber, “Search-Based Applications - At the Confluence of Search and Database Technologies”, Morgan & Claypool Publishers, 2011 [2]Leslie Owens, “Tapping The Power Of Search-Based Applications”, Morgan & Claypool Publishers, March 2011 [3]清兼義弘.関口宏司.田澤孝之.松野良蔵,「エンタープライズサーチ 技術と導入」,アスキー・メディアワークス,2008年9月 [4]吉川日出行,「サーチアーキテクチャ「さがす」の情報科学」,みずほ情報総研株式会社,ソフトバンククリエイティブ,2007年10月 [5]Laurie F. Wurster, Bob Igou, Zeynep Babat, “Survey Analysis: Overview of Preferencesand Practices in the Adoption and Usage of Open-Source Software”, Gartner,Inc., January 2011 [6]「国内ソフトウェア市場予測を発表」,IDC Japan 株式会社,2011年5月24日,http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20110524Apr.html [7]「2010年度オープンソースソフトウェア活用動向調査」,The Linux Foundation Japan,2011年7月,http://www.linuxfoundation.jp/jp_uploads/SI_Forum_OSS_Survey_2010.pdf [8]Aaron Wall, “History of Search Engines: From 1945 to Google Today”,http://www.searchenginehistory.com/