NHKは、災害現場など電源供給が途絶えた状況においても、太陽光と風力のハイブリッド発電によって、動作に必要な電力を確保することができる可搬型・全天候型の放送用ロボットカメラを開発、29日より宮城県亘理町で運用を開始した。 ロボットカメラの主な特長は以下の通り。まず電源には太陽光パネル(約1.1kW)と風力発電(1kW)を装備する。風力発電には、従来の風車と比較して約2.5倍の発電量を得られる高効率なレンズ付き風車を採用し、風車の小型・軽量化とともに1kWクラス(風速11m/s時)の発電量を実現した。 電源部には蓄電池も装備し、天候の影響などで太陽光や風力による発電が困難となった場合でも約3日間の動作を可能とする。蓄電池の残量が少なくなった場合には、必要最小限の機器だけを動作させる省エネモードも備えている。省エネモードでは、ロボットカメラ映像を本体のメモリーに蓄積し、リモート制御によってメモリーから必要な部分だけを取り出して伝送できる。 放送用の無線中継伝送装置(FPU)や携帯電話の高速データ通信、通信衛星を利用した映像伝送装置など、複数の伝送手段に対応しており、災害現場などからでもロボットカメラ映像をより確実に伝送できる。 NHKでは宮城県亘理町のビル屋上に本装置を設置し、29日から運用を開始した。今後1年程度かけて、ハイブリッド発電や蓄電池の状態などのさまざまな運用データを収集・解析し、今後のロボットカメラや非常用電源装置の整備に反映していく。