サムスン電子ジャパンは、スペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress(MWC) 2012」で日本の報道関係者からのグループインタビューに応じ、端末事業本部を統括する石井圭介専務が「GALAXY Note」の日本向け展開の見通しなどについて説明した。 スマートフォン以外でのGALAXYシリーズでは、まず7インチタブレットの「GALAXY Tab」を発売し、続いてバリエーションモデルとして同製品の10インチモデルを追加したSamsungだが、昨年秋、5.3インチ・800×1280ドットの有機ELディスプレイを搭載し、ペン入力機能にフォーカスしたGALAXY Noteを投入したことで、3インチクラスのスマートフォンから10インチクラスのタブレットまで、ラインナップがほぼシームレスにつながった形だ。 当初はSamsung内部ですら5インチクラスというGALAXY Noteのサイズに懐疑的な見方があったようだが、フタを開けてみれば売れ行きは上々で、昨年10月末の発売以来全世界での販売台数は200万台を突破し、売れ行きはさらに伸びる傾向にあるという。また、インドのように低価格端末が中心の新興市場でも需要が拡大しており、新しい客層をつかみつつあるとの手応えも得ているようだ。 5.3インチのAndroidデバイスは果たして大きなスマートフォンなのか、それとも小型のタブレットなのか、カテゴリ分けが難しいところだ。同社はWebサイト等ではGALAXY Noteを便宜的にスマートフォンとして取り扱っているが、石井氏は「GALAXY Noteはスマートフォンか、タブレットか」という記者団からの質問に、あえて「画面のインチで分けるのではなく、GALAXY Noteは“ノート”」であると答えた。 今回のMWCでSamsungは、GALAXY Noteシリーズの新製品として、10.1インチの「GALAXY Note 10.1」を発表した。これは製品のサイズで見れば明らかにタブレットだが、同社ではサイズよりもペン入力を強くアピールしており、小型の5インチでも大型の10インチでも、ともに“ノート”であるという考え方を浸透させたいようだ。小型の“ノート”についても「未来永劫5インチというわけではない」(石井氏)としており、ユーザーからの反応や、今後のペン入力ソフトウエアの進化、ディスプレイやバッテリーなどデバイスの技術革新によって、より大きくもより小さくもなる可能性があるという。 一方、現在のスマートフォン市場は、ペンなどを使わず指で十分快適な操作が行えるiPhoneの登場がきっかけとなって大きく拡大したものであり、ユーザーにペンを使わせるという提案は、かつてのPDA時代への逆戻りというとらえ方もできなくはない。この見方に対して石井氏は「(GALAXY Noteの成功によって)ペン入力の楽しみに対して、ニーズは確実にあるということがわかった。当社がどうしたいということではなく、お客様の既にあるニーズにどう応えていくか」と話し、ユーザーニーズに対する選択肢の提供として、ペン入力タイプの製品を拡充していくとの姿勢だ。 手帳を想起させるスタイルでもわかるように、GALAXY Noteは30代のビジネスパーソンをユーザーとして想定していたということだが、実際にはより広い層の支持を集めており、ビジネスシーンのみならず動画やゲームといったエンターテインメント用途でも活用されていると同社ではみている。どうしても7インチや10インチの大画面を必要とするユーザーでなければ、携帯電話と持ち歩き用タブレットを1台に統合できるというメリットもあるだろう。 また、ペンオペレーションに適した使い方がプリインストールアプリでしかできないようだと、ユーザーの関心はいっときの目新しさにとどまってしまう。このため、同社ではペンアプリ向けのSDKを既に公開しており、GALAXY Noteシリーズのペン機能を活かしたアプリがサードパーティからも提供されることを期待している。 同社では、1月に米ラスベガスで開催されたCESに続き、今回のMWCでもブースに数名のイラストレーターを招き、GALAXY Noteを使って来場者の似顔絵を描くというデモンストレーションを大規模に実施。他の端末メーカーがスマートフォンの新製品を前面にアピールする中、主力の「GALAXY S II」の後継機についてはまったく触れず、完全に“ノート推し”のブース構成となっていた。 GALAXY NoteはSamsungが世界に向けてこれだけ強くアピールする機種だけに、日本市場向けの提供が気になるところだが、国内での具体的な商品化の予定について現時点で公開できる情報はないという。しかし、石井氏は「ぜひ日本のユーザーにも体験していただいきたい」と話し、日本での製品投入についても前向きな姿勢を示した。
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