同展示では、医療への応用をテーマに「Fragrance Jet II」という芳香発生装置を用いて、嗅覚能力を測定するデモが行われていた。
慶應義塾大学 理工学部 情報工学科 教授 岡田謙一氏は、「年をとると感覚が衰えてくるが、嗅覚も衰える。年代によって臭いがどのように変わっていくのかをチェックできる。またシックハウス症候群は最初に鼻が影響を受けると言われているため、発症の有無や症状の進行状況の診断に使える」と語る。
またインクジェットプリンターの技術を利用して、単体もしくは合成された香料を放出することが可能。応用分野としては、エンターテインメント分野での利用も視野に入れており、例えば映像に合わせた香りを放出することで臨場感を増す効果を狙うなどといった用途が考えられるという。岡田氏はさらに、映像の雰囲気を増すバックグランドミュージックのように、香りによって「寂しい感じ」や「うれしい感じ」など感性を刺激するような使い方もあるのではと述べた。
今後は小型化を進めると共に、より多くの香りの再現を目指すという。